本サイトのパートナー、意力(いちから)ブログの立入勝義氏がE-Readerを中心に CES 2010のレポートを載せている。取材とビジネスという両方の立場で、メディアがカバーしていない情報を教えてくれるのが嬉しい。とくに中国の3G規格TD-CDMA普及の一翼を担うマーベル (Marvell)、台湾のASUSTekのリーダについての情報はほかで見られない。それに、もっと重要なことも指摘している。(写真はKindle 2とSamsungリーダの比較)
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CES 2010 レポート2 ~電子出版市場の趨勢を占う~、by 立入勝義、1/8/2010
CES 2010、同上
サバイバルレースとお祭り報道
欧米の「トレードショウ」と日本の「展示会」の違いは、レースとパレードの違いほど大きい。日本の取材記者は、レースを「お祭り」に翻訳して報道するので、理解不能になってしまう。トレードショウはバイヤーやパートナー探しのためのイベントで、祭りの衣装は生々しいバトルが露出するのを避けるためにあるからだ。立入氏は、日本人の姿が減ったのに「今年のCESはすごい活気である。これは不況を背景に、世界的に生き残った企業がこれからシェアを拡大するための意気込みが伝わってくる展示会になっているからだ。」と読んだ。不況だからお祭りどころではない、と考える日本人と、サバイバルレースと考える世界標準との違いを、これほど端的に示すものはないだろう。世界の家電業界をリードする存在になった韓国勢と、巨大市場を背景に世界のトップをうかがう中国勢が盛り上げているのは言うまでもない。
CESがレース会場であることは、GoogleがNext Oneでオープニングの話題をさらい、アップルの iSlate のティーザー・キャンペーンに対抗してマイクロソフトがWindowsタブレットのプロモーションをHPなどと連携して行うなどの駆け引きでもみられた。電話会社は3Gのシェアを拡大するために、コンテンツ提供側のプラットフォーム/サービスと受信側のスマートフォンやネットブック、タブレットのネットワークを強化しようと必死だ。誰もが「時間」と戦っている。これほど競争が熾烈になることは、この分野でも前例がないほどだ。それはデジタル化で安定的な秩序が崩壊したためだが、日本企業はレースを戦うのに必要なスピード感やフィジカルを持った人間を鍛えてこなかったし、たぶん採用もせずむしろ淘汰してきたのだろう。
しかし、伝統的大企業の外では、グローバルなレースを苦にしないで、むしろ愉しむ人も出てこようとしている。米国に渡った立入氏もその一人だ。本サイトは、日本を21世紀のメディア/コンテンツ/デバイス・ビジネスの有力なノードとして構築する助けになることを目ざしている。(01/11/2010)