デジタル情報空間は、メディアの性格を大きく変えた。この環境では、メディアとコンテンツ/メッセージは固定的な関係から解き放たれ、ビジネス的に有意な結合をもとめて流動化し始める。「あるメディアのコンテンツはつねに別のメディアである」という、難解とされてきたマクルーハンのテーゼが、生きた意味を持ち始め、メディアの入れ子構造が、ビジネスの源泉となる。【連載第4回/鎌田博樹】 ... [続きを読む]
本と出版ビジネス -Expanding Books-
POD、ソーシャル、マーケティング、書店、出版、インディーズ
メディアの危機ー(3)デジタル情報空間の分離
メディアの商業的価値は、伝統的に情報の大量複製/配布にあり、その地位は手段とともに揺るぎないものだった。デジタルは紙と電波の価値を相対化し、既成メディアを窮地に立たせている。しかし、コンテンツを人質に、かつて優越的地位を約束した手段に引き籠るという対応は、この時代には自滅を選択したに等しい。なぜそうなるかを考えてみよう。【連載第3回/鎌田博樹】 ... [続きを読む]
メディアの危機ー(2)知識コミュニケーションと出版
メディアはフルデジタルとなることで、リーチ・サイズを競ってきたゲームの性格を変えた。ユーザーのコンテクストを知ることから、柔軟で、持続的で、多様なビジネスモデルが生まれる。すでに社会がWebを通してそれを知ってしまった以上、既成メディアにも止めることは出来ない。それを無視して従来の方法を通そうとすることから消滅の危機が現実化する。【連載第2回/鎌田博樹】 ... [続きを読む]
メディアの危機ー来るべき再編に向けて (1) 序
社会はコミュニケーションで成立している。手段がデジタルとなってもそのことは変わらない。しかし出版あるいはメディアビジネスの形は一変する。デジタルには記録・伝送・表示以外のことができるからだ。変化を促す力と変化に抗する力のバランスは、日本においても確実に変わろうとしている。好悪の問題ではなく、後者からはビジネスの機会が失われつつあるからだ。【連載第1回】 ... [続きを読む]
プレ・グーテンベルクの復興(2):読書環境
紙の上に書かれたものに価値があるのは、それを読むことを通じて知識や表現の持つ意味が伝わる場合だ。グーテンベルク以前の書物は、それを扱う様々な文化的行為によって、今日では容易に想像できないほどの力を持ち得ていた。モノとしての本が相対化されることで、読むことを中心とした新しい環境が見えてきたが、それは偉大な伝統の復活の可能性を告げている。(鎌田博樹) ... [続きを読む]
プレ・グーテンベルクの復興(1):はじめに
「グーテンベルク以前の書物のための仮想読書環境の構築」という筆者のアイデアが、今年のフランクフルト・ブックフェアの Digital Publishing Creative Idea Contestで表彰された(→リリース)。本サイトでも取り上げてきた「和本プロジェクト」(Project Beyond G3)の最初の対外的成果である。発表内容について連載でご紹介してみたい。(鎌田博樹) ... [続きを読む]
デジタル出版アイデア授賞式プレゼン資料
「和本論」を下敷きにした Project Beyond G3 (Gravity of Gutenberg Galaxy)のコンセプトを、フランクフルト・ブックフェアとフランクフルト大学の共催による「デジタル出版創造的アイデア・コンテスト」に提案したところ、意外にも最優秀3件の中に選ばれた(→リリース)。とりあえず、10月10日の授賞式当日に使用したプレゼン資料を掲載する。 ... [続きを読む]
「電書1兆円」は正夢:(5)市場は意味から生まれる
「電書1兆円」は正夢? (4):本はコモディティか
これまでの出版界では、本の売り方を真剣に考える習慣がなかった。どうにもならないと考えられてきたからだ。米国の5年間で出版社が学んだことは、本は映像やゲームなどと伍してやれる強いメディアであること、その強さは人と本との出会い(体験)によってのみ生まれること、そして読者に目を向けることで本に最適化したマーケティングが可能になることだった。 ... [続きを読む]