「日本は電子ブック戦争でなぜ敗れたのか」と書いた池田信夫氏が、ご自身のブログ(1/19)で「自費出版の時代」を書いて、電子「自費出版」によって著者と出版者の関係が変わる可能性を述べておられる。ここでは、筆者が指摘した、再販制度が電子出版には適用されない点や、著者の経済的メリットなどがそのまま「採用」されており、池田氏もこの戦争に参戦の意志を持たれたようで慶賀に堪えない。しかし、出版において印刷や書店が前提ではなくなった時代に自費出版の意味もまた問い直されている。この際考え直してみるのも無駄ではないだろう。 ... [続きを読む]
Log Book
日本は「電子ブック戦争」に勝てる
ブロガーの池田信夫氏が、1月6日のASCII.JPのコラムで「日本は電子ブック戦争になぜ敗れたのか」を論じ、今年が「電子ブック元年」という重要な節目であるのに、ハード、コンテンツともに日本が立ち遅れていることを指摘した。「電子ブックで鎖国する日本」という刺激的な表現で、本の流通機構と出版社の対応を批判してもいる。もちろん『希望を捨てる勇気』を書いた池田氏一流の反語的表現だが、逆効果になっては困るので、蛇足ながら駄文をものした。 ... [続きを読む]
デジタルメディア時代とテレビの終焉
ラスベガスのCESは、さながらE-Readerのデビューイベントだった。これにタブレット(スレート)を含めれば、デジタルコンテンツを表示する“メディアビューワ”の時代の本格的な幕開けと言える。米国、欧州、台湾、中国、韓国と、この新市場に参加する国も多彩なら、大企業から小規模なスタートアップまで、企業も多彩だ。しかし、日本の影は薄い。テレビの時代が終わったことを認められないからだ。 ... [続きを読む]
デジタルメディア論 (2)
デジタル時代のメディア世界のマップを描こうという試み。前回は確認の意味で、デジタル情報世界の性質を総括し、人間がこの世界と付き合い、振り舞わされることなく使っていくために、デジタルに表現されるものよりはその意味が重要であると述べました。メディアはコンテンツとコンテクストとユーザー3つの要素の関係で成立します。そこに「生きた意味」(つまり価値あるいは体験)が生じるのです。今回は意味について、いくつかの面から考えてみます。 ... [続きを読む]
デジタルメディア論 (1)
筆者はこれまで、シンクタンクからメディア、ITまで、様々な世界、様々な立場で「情報」の現場を経験してきました。結果として「鄙事(ひじ)に多能なり」(論語・子罕第九の六)となったわけですが、とくに30年あまり、デジタル化の歴史を見てきたことは、「デジタルネイティブ」の皆さんより、ひとつだけ有利な(あるいは責任ある)立場にあるとも言えます。本サイトは、21世紀のメディアビジネスの羅針盤とも、またプラットフォームともしようと意図して始めたものですが、これまでの経験や知識、見聞、思考をかき集めて、メディア世界のマップを描こうと考えました。(鎌田博樹) ... [続きを読む]
新聞+Google=?
Google Labsが NY Times、Washington Postと共同で始めたLiving Storiesという実験サービスは、Webによって新聞がどのようなサービス価値を提供できるかを示す画期的なもの。ニュースメディアの新しいビジネスモデルの開発に重要なヒントを提供すると思われる。 ... [続きを読む]
真にグローバルな「和解」を
今週月曜から待っていたGoogle和解修正案の提出でしたが、いったん延期されたあと、13日の金曜に提出され、内容が公表されました。日本が対象外とされたことで拍子抜けのような雰囲気がありますが、細部は検討が必要です。それに、社会の知的資産である著作権者不明の著作物の扱いについて、まだ何も解決していません。対象を限定したのは妥当ですが、グローバルな「和解」の枠組みは必要で、国立国会図書館のプロジェクトに関連して、日本として立場を表明する必要があるでしょう。 ... [続きを読む]
広告指向コンテンツの脅威!?
Answers.com と demand Mediaが短期間で米国のWebサイト、トップ10入りを果たしそうだという記事が ReadWriteWeb に出ていました(関連記事参照)。どちらも、オープン参加型で、前者は「はてな」のようなQ&A情報サイト、後者はSEO指向のコンテンツ配信ビジネスですが、ともに毎日数千ページの情報を提供することで、わずか2,3年でYahooやAOLなどの大手サイトに迫るレベルに達しました(comScoreのトップ50ランキング参照)。広告料収入も順調で、すでにサクセスストーリーの仲間入りと言えるでしょう。 ... [続きを読む]
航海日誌:クリアリングハウスは大変 (11月4日)
情報整理の作業が予想外に多く、改めて範囲を広げたことの重みを感じています。米国、英国と日本の情報をたどっていくのは楽しい作業ですが、自分の書きたいものがなかなか進まない。当面はサーチエンジン(昔風に言うとクリアリングハウス)に徹して、世界の広がりの感覚をつかみながら、徐々に構造に入っていきたいと思います。 ... [続きを読む]
編集長の航海日誌 10/21/09
本サイトは11月2日のスタートをめざして、ようやく骨格ができつつあります。関連するニュースのチェックを始めたのですが、カバーしなければならない媒体がとても多いこと、記事の数も半端でないことにあらためて驚いています。基本的に、皆様にすぐ読んでいただけるもの、ということで基本的には<Web上のURLがある資料>に限定します。 ... [続きを読む]