デジタルはアナログ(実世界)を経済的に模倣し、再現するものだ。実世界には問題を理解する達人とそれに準じた職人がおり、解決を与える。他方でデジタルは、問題が言語(数学的形式)として与えられさえすれば、忠実に実行する。場に応じる達人の智の言語化は難しい。中途半端なら手間が増え、完璧に噛み合えば職人の仕事はなくなる。アナログは深め、デジタルは追いかける。終わりがないのがいい。(編集子解題) ... [続きを読む]
Data Format
コンテンツとテクノロジーの対話:(5)『日本語組版処理の要件』と小林 敏さん、小野澤 賢三さん(1)
要求が定義され、機能の仕様が合意され、標準が出来る。その後に実装製品が出てくるのだが、ソフトウェア標準の開発者がまず覚悟しなければならないのは、標準化に対価は得られず、よい標準であれるほど、その機能はデフォルトとなり、早晩商品価値を失うということだ。人類に火をもたらしたプロメーテウスの運命。EPUB 3の日本語組版をわれわれはどう生かすべきなのか。海外に出て行くか、日本に入ってくるのを待つか。時間はそうない。(編集子解題) ... [続きを読む]
ジョブズの遺産とiBooks新戦略をめぐる7つの問い
iBooks Authorを中心としたアップルのiBooks 2戦略は、2つの面を持っている。今日の教育に不可欠なマルチメディア・コンテンツを作り、出版する武器を万人に開放するという啓蒙的側面と、出版はiBookstoreを通じなければならない(iPadを使え)という専制的側面だ。「啓蒙的専制君主」としての故スティーブ・ジョブズの面目躍如とした遺産なのだが、これを受け容れるかどうか、われわれも選択を迫られている。ここでは問題を7つにまとめ、筆者の答を示す。[全文はE-Book2.0 Magazineにて公開中です] ... [続きを読む]
EPUB戦記(6):国際標準化の舞台
EPUB3標準に縦組仕様を盛込むプロジェクトの成功のドキュメントについて、できるだけわかりやすく描くのが筆者のミッションである。中心的な役割を果たした人々の話を順次紹介していきたいが、内容は簡単にまとめられるものではないし、それを理解していただくためには、国際標準化という、あまり世間では知られていない背景について、筆者なりにまとめておく必要を感じている。個人的にも20年近く関わったが、理解が進まないことには理由がないわけではない。 ... [続きを読む]
E-Book再考(2):フォーマットは組版だけでない
EBook2 Magazine (Vol.2, No.1, 9/22) +Review
「電子書籍の世界規格上陸、国内出版界は正念場」という新聞の見出しで驚いたのだが、EPUBは日本の市場のニーズを反映すべく、日本のメンバーによって策定されたもので、外国勢力の日本攻略の武器として「上陸」するものではないし、ましてそれによって出版界が正念場を迎えるようなものではない。それに、EPUB 3は5月23日の「提案仕様」で事実上確定しており、ツールやアプリの開発者はすでにそれを前提に開発を進めている。いい加減に大時代な表現は止めて欲しいものだ。 ... [続きを読む]
MathMLベースの動的文書フォーマットCDF
[寄稿]EPUBの制作現場のいま/佐々木康彦
日本語仕様を含むePUB3の正式発表が迫ってきた。これが今後のE-Bookの方向を決める歴史的な一歩であることは間違いないが、標準によってすぐに実装の現場が変わるわけではない。日本での普及はどのように進むか、現在有効なツールにはどんなものがあるか、など考えるべきことは多くなるが、これまで「見開き」表示など、独自の工夫で商業品質を持ったEPUBコンテンツの制作に携わってきたeBookProの佐々木康彦氏に、現状認識とアプローチを中心に寄稿していただいた。(編集部) ... [続きを読む]
アマゾンEPUB「受け容れ」の舞台裏
ePUB3の正式リリースを前に大きなニュースが入ってきた。Good E-Readerブログのマイケル・コツ氏が5月18日に伝えたところによれば、アマゾンがePUBを受け容れる決定をしたようだ。すでに多くの出版社に対して(Mobiに限定せず)、EPUBフォーマットでの納品を受け容れることを通知したことを確認したという。iOS、AndroidのKindleアプリの対応を進めており、KindleリーダでもEPUBをフルサポートする。日本への影響も少なくない。EPUB日本語仕様をKindleが採用することを意味するからだ。 ... [続きを読む]
アップルのIAP規制がePUB3への移行を加速する!?
「風が吹けば…」的な屁理屈に聞こえるかもしれないが、アップルのIAP規制は、結果的にePUB3への移行を促進するだろう。本の中からインターネット上のコンテンツやサービスへのアクセスを容易にするHTML5/ePUB3は、OS=アプリに依存しないコンテンツの自立=サービス化を広げることになるからだ。逆に言えば、コンテンツがePUB3でフォーマットされることで、ロックインを怖れずに、iPadを安心して使うことが出来る。誰も損をせずに済む解決だ。 ... [続きを読む]