「和本論」を下敷きにした Project Beyond G3 (Gravity of Gutenberg Galaxy)のコンセプトを、フランクフルト・ブックフェアとフランクフルト大学の共催による「デジタル出版創造的アイデア・コンテスト」に提案したところ、意外にも最優秀3件の中に選ばれた(→リリース)。とりあえず、10月10日の授賞式当日に使用したプレゼン資料を掲載する。 ... [続きを読む]
Beyond Books
和本論からE-Bookへ (1):書物としての絵巻
アマゾン9月6日新製品発表イベント
9月6日(日本時間で金曜早朝にかけて)行われたアマゾンの新製品イベントは一見の価値がある。ベゾスCEOのプレゼンには、ジョブスのようなカリスマ性は皆無だが、理詰めの迫力とでも言うべきものがある。英語は日本人にも分かりやすいもの。EBook 2.0 Magazineに、内容の紹介と評価は順次載せているが、バランスよく全体を理解するには、やはり一度この1時間あまりのビデオを見ていただいたほうがよいと思う。とくに日本ではほとんど理解されているとは思えない「Kindleはサービスである」ということの意味を知るために。 ... [続きを読む]
コンテンツとテクノロジー:(6)『日本語組版処理の要件』と小林 敏さん、小野澤 賢三さん(2)
デジタルはアナログ(実世界)を経済的に模倣し、再現するものだ。実世界には問題を理解する達人とそれに準じた職人がおり、解決を与える。他方でデジタルは、問題が言語(数学的形式)として与えられさえすれば、忠実に実行する。場に応じる達人の智の言語化は難しい。中途半端なら手間が増え、完璧に噛み合えば職人の仕事はなくなる。アナログは深め、デジタルは追いかける。終わりがないのがいい。(編集子解題) ... [続きを読む]
オープン・パブリッシングのビジョン:(番外) 知の銀河系を開放する
コンテンツとテクノロジーの対話:(5)『日本語組版処理の要件』と小林 敏さん、小野澤 賢三さん(1)
要求が定義され、機能の仕様が合意され、標準が出来る。その後に実装製品が出てくるのだが、ソフトウェア標準の開発者がまず覚悟しなければならないのは、標準化に対価は得られず、よい標準であれるほど、その機能はデフォルトとなり、早晩商品価値を失うということだ。人類に火をもたらしたプロメーテウスの運命。EPUB 3の日本語組版をわれわれはどう生かすべきなのか。海外に出て行くか、日本に入ってくるのを待つか。時間はそうない。(編集子解題) ... [続きを読む]
ジョブズの遺産とiBooks新戦略をめぐる7つの問い
iBooks Authorを中心としたアップルのiBooks 2戦略は、2つの面を持っている。今日の教育に不可欠なマルチメディア・コンテンツを作り、出版する武器を万人に開放するという啓蒙的側面と、出版はiBookstoreを通じなければならない(iPadを使え)という専制的側面だ。「啓蒙的専制君主」としての故スティーブ・ジョブズの面目躍如とした遺産なのだが、これを受け容れるかどうか、われわれも選択を迫られている。ここでは問題を7つにまとめ、筆者の答を示す。[全文はE-Book2.0 Magazineにて公開中です] ... [続きを読む]
出版コンテンツ論 (3):サービス指向E-Book
昨日の記事に多くのアクセスとコメントをいただいた。次回以降で、コンテンツ自体のソシアビリティを実現するモデルと出版社/編集者の仕事について考えていきたい。問題の組立て方が間違っていなければ答は見つかるはずだ、というのが筆者の信念でチャレンジしているが、ご協力いただければ幸い。そこで分かりやすくなるように図で表現してみた。本サイトが目指す “E-Book 2.0”の性格を「サービス指向E-Book」あるいはBook as a Service (BaaS)と呼ぼうと考えている。 ... [続きを読む]
出版コンテンツ論 (2):E-Bookのソシアビリティ
コンテンツは社会的概念であり、コンテンツがコンテンツであるためにはコンテクストを実装する必要がある。コンテクストの提供(社会化機能)をクラウドプラットフォームに依存している現在のコンテンツの形態は、出版社にとってまったく不利なものだ。印刷本が持っていた、実体としてのオーラが失われつつある現在、出版社はE-Bookのユーザビリティを通じてソシアビリティを高め、読者との間のインタラクションを構築する必要がある。つまり本をソーシャルメディアとするのだ。 ... [続きを読む]
EPUB戦記(9):市場の要求とタイムリミット
前回述べたように、コンソーシアムの標準は「市場」の動き出すのを待たず、その1年以上前から(ニーズが把握できた時点で)着手されるものだ。遅すぎれば市場に出てくる製品やサービスに無視され、早すぎれば技術的環境が変わってしまうリスクが増す。EPUB3の活動が集中した2010年は、市場が動き始めており、アマゾンばかりが目立っていた2009年までとは状況が一変していた。E-Bookの標準フォーマットは重要な意味を持つようになった。 ... [続きを読む]