日本において、EPUB問題はユニコード問題と深い関係がある。ユニコードはEPUBの前哨戦であり、その結果がE3Jに与えた影響はとても大きかったと思われる。文字は組版の土台をつくる積み石であるというだけでなく、ここでの一種の「社会的体験」が、標準化のステークホルダーたちに現実的な行動をとらせたのではないか。証明は簡単ではないが、関係者に補足していただくことを期待して、ここで問題を提起しておきたい。 ... [続きを読む]
Beyond Books
EPUB戦記・ノート(1):はじめに
『EPUB戦記』というたいそうな表題の本を書くことになった。筆者は、EPUB3が異文化コミュニケーションの歴史に残るイベントだったと考えているが、EPUB3に縦組を含む日本語組版仕様拡張を盛り込むことに成功した人々の苦闘の跡を記録し、様々なコンテクストの中で、その意味を理解する材料を提供したいという趣旨で取り組んでいる。異例だとは思うが、出版とはコミュニケーションの一部であるとの理念を実践するため、この連載へのフィードバックをいただければ幸い。(鎌田博樹) ... [続きを読む]
ビッグデータとクラウド:アマゾンCTOに聞く
Digital Europeのロベルト・ジカーリ編集長は、さきごろアマゾンのCTO兼副社長、ヴェルナー・フォーゲルス博士 (Werner Vogels, Ph.D.)とインタビューを行い、オブジェクトデータベース技術専門ブログ、ODBMS.orgに掲載した(11/2)。IT関係者のための記事だが、アマゾンの技術がどのような性質のもので、どこへ向かおうとしているかを語っている。これは非技術者にとっても、デジタルメディア・ビジネスとそれを支えるテクノロジーを考える上でも重要なもので、あえて掲載することにした。解説が必要だと思うのでこれは稿を改める。(鎌田) ... [続きを読む]
E-Book再考(3):どれだけのタイトルが必要か
EBook2 Magazine (Vol.2, No.5, 10/20) +Review
アマゾンが年内にも日本でKindle事業を開始する方向で準備を進めていることを、20日付の各紙が一斉に報じた。日本語コンテンツの供給に関しては、版元各社と交渉の詰めを行っており、すでにPHP研究所とは合意、講談社、新潮社などとは1~2ヵ月以内の合意を目指しているという。これは出版社が懸念していた価格設定問題がほぼ解決したことを意味する。ついに「開国」となった。いまさらだが、経緯を振り返ってみるのも無駄ではないだろう。というのも、これはスタートに過ぎないからだ。 ... [続きを読む]
E-Book再考(2):フォーマットは組版だけでない
EBook2 Magazine (Vol.2, No.2, 9/29) +Review
9月の最終週はアマゾンの新製品発表で慌しかった。短時間に多くの情報を頭に詰め込むと疲れる。今回はiPadの発表時より疲れた。アマゾンの発表は、深く読み込まないと意味が分からない。すべての製品/サービスが、単独の事業ではなく、物販を含めたアマゾンの事業の中で位置づけないと理解不能だからだ。だから、タブレットでいえば、製造原価がビジネスモデルを知る手がかりとなり、クラウドが提供する機能がパフォーマンスを評価する手がかりとなる。 ... [続きを読む]
EBook2 Magazine (Vol.2, No.1, 9/22) +Review
「電子書籍の世界規格上陸、国内出版界は正念場」という新聞の見出しで驚いたのだが、EPUBは日本の市場のニーズを反映すべく、日本のメンバーによって策定されたもので、外国勢力の日本攻略の武器として「上陸」するものではないし、ましてそれによって出版界が正念場を迎えるようなものではない。それに、EPUB 3は5月23日の「提案仕様」で事実上確定しており、ツールやアプリの開発者はすでにそれを前提に開発を進めている。いい加減に大時代な表現は止めて欲しいものだ。 ... [続きを読む]
アマゾンが9.28に新製品発表を予告
アマゾンは、米国東部時間9月28日水曜10時に記者発表を行うことをメディアに予告した。タッチスクリーンの100ドルKindleまたはタブレット、あるいは両方同時とみられている。B&Nも10月にNook Touchの新製品とColor2製品を発表すると言われており、いよいよ「タブレットの年」を飾るG1クラスの登場となりそうだ。 ... [続きを読む]
進化せよ。ここがガラパゴス島だ!
シャープがGALAPAGOSタブレット(10.8型と5.5型)の自社販売を9月で終了すると発表した。最速4週間で撤退したHPのように、この事業そのものからの撤退を表明したわけではなく、イーアクセスが販売する7型は継続するというので、これを撤退と受け取る必要は無い。タブレット市場は、日本でも海外でも、これから離陸期を迎えるものだし、シャープのような会社がこの重要な市場から撤退してよい理由は見当たらない。ガラパゴスは「環境」に適応し、進化できなければガラパゴスではない。もちろん適応は1年や2年で出来るものではないのだ。 ... [続きを読む]