Beyond Gravity of Gutenberg’s Galaxy Project(Project G3 )
1445年にヨハネス・グーテンベルクによる活版印刷技術の発明以降、わたしたちは、さまざまな意味でその影響下に歴史を積み重ねてきました。その影響力は、マーシャル・マクルーハンが喝破したとおり、グーテンベルクの銀河系と呼ぶに相応しいものがあります。宗教革命や産業革命は言うに及ばず、近代的自我意識そのものがグーテンベルクに端を発する、活版印刷による書物の在り方と、深い関わりを持ちながら生まれてきたと言っても過言ではないでしょう。
そして今。わたしたちが、グーテンベルク革命以来の大きな革命の時代に遭遇していることもまた言を俟ちません。
しかし、グーテンベルク銀河系が持つ引力は、わたしたちの想像を遙かに超える強力なものなのかもしれません。孫悟空ではありませんが、わたしたちは、グーテンベルク以来の革命などと標榜しながら、依然としてグーテンベルク銀河系の重力圏の中でもがきあがいているだけなのではないか。グーテンベルク銀河系の重力圏からの離脱を計るためには、何よりもグーテンベルク銀河系を歴史地理的に相対化する視点が不可欠ではないか。過去にグーテンベルク銀河系の外側で生じた書物を巡るさまざまな出来事に思いを馳せることによって、細くても強靱で明晰な補助線を、未来に向けて描くことが出来るのではないか。
この研究会は、そのような問題意識を持った友人たちの自由な討論の場として企てられています。
“Project Beyond G^3″発起人一同。
第6回(Ⅱ-3):ポストGの百科事典
「書物の機能性―知識のコミュニケーション・システムとしての書物」をテーマとした第2期の締め括りにあたる第3回は、世界大百科の電子化に取り組んでおられる松岡裕典さんをプレゼンターに、知のノードとしての役割を果たす百科事典の […]
シリーズ記録/予定
第1期:『和本の銀河系』(3回シリーズ) 第1回 10月31日 「和本が拓いてきた世界―脱Gから創造的技術への提案」 (1) 絵巻物の時空表現 問題提起者:橋口候之助 第2回 12月1日 「和本が拓いてきた世界―脱Gから […]
Beyond Gとは何か?
本 (Book)とは、文字を中心とした情報の記録・伝達を目的とした容器であり、かかれ/よまれること (write/read) の連鎖においてその機能が実現される。 かかれ/よまれる内容と伝達の形は容器とその生産、流通に依存する。15-6世紀に成立したグーテンベルク/アルドゥス(G/A)の本は、ひとつの完成形であった。つまり、以後進化はしていない。 G以前の本は、Gによる複製によって形骸と化し、その読書体験はほとんど失われた。しかし、それは電子的に再構築されることによって再現し、拡張することが可能である。 本の歴史はEPUB3とともに新しい段階に入った。それは活字の処理にとどまらず、知識情報の構造化・表示・連携の方式に関する様々な要求を標準的な方法で実現できる。 Beyond