Amazon Crossingが出版を本格化

Amazon Crossingは、来年春にかけての新刊予定6点を発表した。すべて印刷本とKindleで入手可能で、多くはアマゾン独占で提供される。5月にギニアの作家Tierno Mone'nemboの仏語作品 "The King of Kahel"の英訳を出してスタートして以来、一挙に、というわけにはいかなかったが、しだいにシリーズとしての体裁が整うことになる。(つづく

SNSによる翻訳出版プロジェクトのシステム化へのアマゾンの挑戦

英語への翻訳・出版は、その逆に比べてかなり貧弱で、非英語圏どうし(例えば仏日)と同等以下のこともある。翻訳コストと作者・題材がよく知られていないことのリスクを嫌う出版社の習性が、翻訳出版の発展を遅らせてきた。しかし、近年ではスティーグ・ラーソン(1954-2004)のスウェーデン語原文の犯罪小説 (Millennium Trilogy三部作)が世界的な大ベストセラー(40ヵ国、2,700万部以上)となり、映画化もされて大ヒットしたように、非英語圏の作品が手つかずの金鉱脈として注目を浴びている。そして鉱脈の発見と製錬をどうやって行うかが大きな課題となってきた。

Amazon Crossingは、英語圏読者に優れた“外国語”作品を翻訳・紹介するアマゾンのオリジナル出版プロジェクトで、全世界の読者からのフィードバックをもとに対象作や翻訳者を選定する、同社ならではのユニークなプロジェクトだ。Web 2.0とともに知られることとなったソーシャルネットワーキングクラウドソーシング、つまり衆知を活かす仕組みをマーケティングに応用している。オリジナル言語で高い評価を得た作品の市場性を、グローバルな観点で評価し、さらに英語圏に“ローカライズ”するという2段階のスキームで考えられており、かなり精巧にシステムが設計されている。まだ作品数は少ないが、それはマーケティングや制作体制(のベストプラクティス)が本格的には確立していないためとみられる。アマゾンの新事業開拓は非常に厳密な検証ステップをとる。

日本ではコンテンツの輸出に関心がもたれるようになっているが、海外で売れるコンテンツ、売る方法を発見しようというアプローチが弱いために、結局は買い手が来るのを待つことになってしまう。なぜ村上春樹作品が海外でも売れたのか、なぜ山岡宗八の『徳川家康』が中国でベストセラーとなったかを知ることはとても重要な意味を持つと思う。(鎌田、09/23/2010)

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