ハリス社の米国E-Reader/E-Book市場調査

米国の有力な世論調査会社ハリス社 (Harris Poll)は9月22日、米国人の10人に1人がすでにE-Readerを所有し、1割が6ヵ月以内に購入意向を示している、とする調査結果を発表した。利用率、読了書籍数(×年齢/所得階層)、購入書籍数、地域別/年代別購入意向、読書習慣の変化など、E-Bookがアメリカ人の読書体験にどのような変化をもたらしているかを、かなりきめ細かくとらえている。

解説:E-Bookのほかに未来はなく、E-Readerは未来の使者なり

本調査は、8月9日からの1週間、Harris Interactive社が2,775名の成人男女を対象にオンラインで行ったものだが、人口構成を反映するよう、サンプルは厳密に統計的コントロールがなされており、日本で一般的に行われているオンライン調査やメディアの「世論調査」のようなバイアスから免れている。対象としているE-Readerは、Kindle、iPad、Sony Reader、Nookなど、E-Bookを読むために使われているデバイス。iPadのみが汎用タブレットだが、iPadと専用リーダで別の傾向がみられるかどうかは明らかでない(現時点での差異はあまりない可能性はある)。

調査では、まずアメリカ人がどのくらい本を読むかを、年齢/所得階層別に描き出しているが、平均で年間11冊以上が38%、21冊以上が19%なのに対して、E-Reader所有者に限れば、36%が11-20冊、25%が21冊以上(つまり11冊以上が62%)と、彼らがアクティブな読者層であることを示している。つまり、出版社が第一に対象とすべき優良顧客ということだ。購入書籍数では、平均で11-20冊が11%、21冊以上が12%であるのに対し、E-Reader所有者では、それぞれ17%と20%である。

半年以内の購入予定の有無についての質問では、12%が「たぶん」(うち「ほぼ確実」は9%)と回答。しかし「買わないだろう」も80%いる。地域別では大都市圏が多い東部と西部で予定者が多く(14%、16%)、また年齢では、34-45歳で15%と高い。実物を見たことのない人も多く、E-Bookの読書体験を想像できない人も多いと思われるが、ここでは「なぜ」に踏み込んではいない。

E-Bookに対する批判として、DLが増えても読む本の数は変わらない(結果紙が減る)というものがあり、読書習慣の変化は非常に重要な意味を持つが、所有者の53%は6ヵ月前より多くの本を読むようになったと答えており(非所有者は18%)、「変化なし」は25%(非所有者は51%)である。前年の購入実績では、11-20冊では所有者17%に対して非所有者11%。21冊以上では所有者20%に対して非所有者11%となっている。合計すると、37%に対して22%で、前期のデータと合わせて、E-Book所有と購入数の増加に正の相関があることを示している。

ハリス調査は「即断するのはまだ早い」と断りながらも、「E-Readerを手にした人々は、以前より多く読むようになり、近年売上を落としている出版業界にとって喜ばしい存在といえる」と述べている。われわれはE-Bookこそ、読書量、書籍購入量を増やし、そのためにE-Readerの普及が必要であると主張してきたが、今回のハリス調査は、専門の調査機関が初めて客観的に実証したもので、画期的なものがある。(鎌田、09/27/2010)

参考記事

「米国人の10人に1人が電子書籍リーダーを持っている」、by 渡辺由佳里、洋書ニュース、09/24/2010

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