B&NのPubIt!と自主出版が注目される理由(♥)

Barnes & Nobleは、自主出版 (self publishing)支援サービスをPubIt!というブランドでスタートさせた。ユーザーは、(1)アカウントを取得してコンテンツをアップロードすると、あとはPubIt!が(2)ePUBに自動変換、(3)BN.comで販売を行うことになる。5月に「今夏」と発表されていたもので、やや遅れてのスタート。サービス内容にも目新しさはないが、B&Nも進出ということがニュースではある。(全文=♥会員)

ファイルはePUBで直接入稿する以外、MS Word、テキスト、HTML、RTFを受け付ける。ePUBへの変換は無料。入稿されたコンテンツは、24~72時間で発売される。価格は、$0.99~$199.99の間で自由に設定でき、$2.99~$9.99の中心的価格帯での出版社の取り分は定価の65%。それ以外では40%となっている。

自主出版が注目される7つの理由

自主出版はすでに市場として注目されている。最初のSelf-Publishing Book Expoがニューヨークで開催され、アマゾンのような大手はもちろん、様々なタイプのスタートアップも独自の技術とビジネスモデルで、この市場に関わっている。日本でも、すでにいくつかが立ち上がっているが、かつての「自費出版」ビジネスの延長や、ただのオンライン書店であったりするものが多く、誰でも情報を公開・共有できる時代の「出版」ということの意味を考えていないものが多い。たんなるファイルの変換やブラウザ表示、販売だけのビジネスは成り立たないだろう。

支援サービスが注目される理由は、自主出版が典型的なロングテイル市場であり、

  1. 扱う点数を多くすれば、平均数百部単位の販売でも利益を上げられる
  2. 出版者/著者と彼らのコミュニティは、効率のいい市場である
  3. 有望な著者、クリエイターを紹介し、世に出す可能性がある
  4. クリエイティブ、マーケティング、版権管理など関連サービスを統合する
  5. 実質的にオンライン出版社あるいは出版プロデューサーとして機能する
  6. ビジネスコミュニケーションなど多様な出版ニーズと事業機会を開拓する
  7. 著者/読者に対するソーシャルネットワーキング・サービス

といった複合的な可能性を持つためである。自主出版とは、自作の小説や詩を発表するためのものではなく、調査会社がレポートを販売したり、コンサルティング会社が実務教材を販売したりするためのものでもある。図書館や企業の資料室、マーケティング部門なども含まれる。いや小説などよりそちらの需要が多いだろう。知識情報のコミュニケーションをE-Bookを使って行う必要のある組織は実質的な出版者となる。

アマゾンは2種類のサービス部門を持っている。グループ会社のCreateSpace(On Demand Publishing LLC傘下)は、音楽と映像作品も扱い、デジタルコンテンツだけでなく、印刷・製本やCD/DVD製作も行う。これには様々なサービスオプションがあり、プロフェッショナルに出版プロジェクトをサポートしてもらうことができる。もう一つはDTP (Digital Text Platform)で、これは中間的なサービスを必要としない場合のKindle向けプログラムだ。このサービスは米国/英語に限定していないので、日本からも利用することができる。CreateSpaceは、米国議会図書館から、約5万冊以上の図書の電子化や、ヨーロッパでのオンデマンド印刷サービスを受注している。こうした非出版社系出版需要は従来から存在したが、今後は自主出版サービスがオンラインとオンデマンドで対応していくことになるだろう。

米国の自主出版支援サービスについてはあらためて紹介したいが、便宜的に以下の3つに分けられる。リストはまだ十分なものではないが、数とバラエティに注目していただきたい。(鎌田、10/06/2010)

コンサルティング/コミュニティ型サービス

LuLu
Xlibris
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WeBook
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FirstPencil
Blurb
iUniverse

ドキュメント共有型サービス

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