遅れていたGoogleのオンラインストアGoogle Editionsが、年内に米国、1Q11に世界的で提供開始になる、とWall Street Journal紙 (12/01)が報じた。技術的、法的な課題を完全にクリアするのに時間がかかっていたようだが、複数の小売店に開放するオープンモデルによる初の大規模オンライン書店で先行するアマゾンを追撃する。まだ立ち上がれないGoogle Books (Search)の延長上のプロジェクトだが、アマゾンのライバルとしてチャレンジすることになった。
実現がかなり難航したように、Googleのオープンモデルはかなり複雑だ。それはGoogleの最大の強味である検索連動型広告とアフィリエイト・ネットワークに連動しているからでもある。書籍に関してはGoogle自身が広告主となって配信・決済まで行うというビジネスは、Googleの従来のビジネスモデルの拡張だ。その上でリテイラーを組織し、商品と顧客を吸引しようとするわけだ。もちろん、マルチデバイス。
アマゾンのKindle Booksでは、消費者はアマゾンから購入するしかないが、Googleは自社での販売のほか、書店や他の小売業者からも購入することができる。コンテンツはGoogleのアカウントから、あらゆるデバイス・プラットフォームで利用することができるのは、Kindle StoreやB&Nと同じ。アフィリエイトのネットワークを使った広告連動で、ブログなどで推薦された本をトリガーにして販売や収入シェアを行う。コンセプトは明快だが、システムの構築と本に特化したUIの開発とテストは簡単ではない。
米国書籍商協会(American Booksellers Association)によれば、B&NやBordersのような大手を除く200あまりの独立系書店が参加する可能性があるという。しかし、Googleと小売店の取り分が公表されていないので、どれだけ書店のメリットになるかは判断できない。市場をすぐに変える力はないかもしれないが、大きなポテンシャルを持ったビジネスモデルではある。WSJの記事では、「本について語るインターネット空間があれば、Googleがそこを本の売場に変える」と語り、20%のシェア獲得を予想する独立系出版社Sourcebooksのオーナー、ブライアン・マレー氏ののコメントも紹介されているが、すでにオンラインストアを持っている大手書店は否定的だ。
ブロガーを本のプロモーターにする仕組みはアマゾンも実績があり、Googleはそれに優るパフォーマンスと利益を要求されることになる。少なくとも出版社にとってこの競争は歓迎すべきことだろう。◆ (12/02/2010)