Bloombergが12月22日に伝えたところによると、今年のKindleの販売台数は、アナリストの予想をはるかに上回る800万台に達する見込み。これはアマゾンの複数の関係者から得た情報によるもので、昨年の販売台数は240万台であったという。アマゾンから信憑性の高い数字が出たのは初めて。この情報を前提とすると、今年の専用リーダの販売は優に1,000万台を超え、本質的にメディア・タブレットであるiPadを含めた広義のE-Readerは2,000万台を超えるという(昨年と比べれば)驚異的な数字となる。
100%(2倍)までは予想しても、200%(3倍)はなかなか「予測」できない。初期市場は通常の手法では予測できないので、フィールドサーベイの結果などからモデルを組み立て、シナリオに基づいてシミュレーションすることになるが、そんな面倒なことは市場アナリストの手に負えないからである。しかも、2009-10年のE-Reader市場の飛躍は、コンテンツとサービス、デバイスの3者の組合せで市場が成立するメディアデバイスの普及では、めったに起こらないほどの爆発的な発展であった。
今年の初め、シテイグループ、バークレイズ・キャピタルなど名だたる投資情報会社のアナリストやメディアは、いずれもKindleの販売台数を500万台 以下と予測した。またiPadとの競合によって影響を受けるとしたものが大半で、iPadには影響を受けず、両者が共存すると考えたのは筆者などごくわず かだった。結果としてKindleとiPadは共存し、E-Book市場でアマゾンはさらにシェアを増やしたことが確認されたわけだが、形成期の市場を読 めるアナリストなどいるわけがなく、500万台が当て推量だったことが示されたことになる。
重要なことは、このトレンドが続く数年の間に書籍市場がまったく変わる可能性が強いということだ。2011年も価格低下が続き、コンテンツが増加することで、E-Readerを所有することの価値は高まるから、専用リーダだけで2,000万台、タブレットを含めて5,000万台となっても不思議ではない。米国で現在7%と言われる普及率が、20~25%となるにも3年もかからないだろう。専用リーダだけで累計約3,000万台の市場をターゲットとすることで、E-Book市場の拡大はさらに加速し、書籍市場全体の構造改革に出版社自身が取組むことになるだろう。 ◆ (12/23/2010)
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