WWD Media (12/29)が伝える米国ABC (Audit Bureau of Circulations)の数字によると、Vanity Fairの11月号は8,700を売ったが、8~10月の平均である10,500を下回った。Glamourは9月に4,301部で、10月にはさらにダウンして2,775部にまで落ち込んだ。GQは11月に11,000で、5~10月の平均(13,000)を下回る。6月に10万を売って話題をさらったWiredはどうなったか。6~9月の平均は31,000で10月、11月はそれぞれ22,000と23,000だった。2,800でスタートしたMen’s Healthに至っては、なお2,000で不振を極めている。問題はどこにあるのか。
iPad雑誌の不振。おそらくこれが2010年最大の「?」なのだろう。iPadはもちろん売れている。iPad上でのE-Bookもそれなりに売れている。十分に準備をしてプロモーションもしたはずだが、アプローチがどこか間違っていたということになろう。ざっと考えられる理由は、以下の5点。
- iPadユーザーと雑誌購読者の間にミスマッチがある
- グラフィック主体の雑誌を重いタブレットで読むには無理がある
- ファイルのサイズなど、iPad雑誌アプリの物理的仕様に問題がある
- 配布方法、操作性など総合的なユーザー体験が読者のテイストに合わない
- 価格が高すぎて印刷版に対抗できない
iPadではまだ定期購読制がとれず、単月販売という問題は含めていないが、読者にとって雑誌は毎月郵送されてくるもの、という米国の常識からすると、E-Bookのように個別に購入を判断するシステムに違和感があっても不思議ではない。1は、少なくともiPadと親和性の高いWiredにはあてはまらないが、ファイルサイズが巨大で、ダウンロードにも時間がかかる点が不評を呼んでいる。複数の要因が複合している可能性もある。いずれにせよ、かなり巨額の投資をした結果なので、原因が究明され、軌道修正や新しいUIデザインの開発などによって発展することに期待したい。少なすぎると広告/購読モデルの開発という最大の課題に行きつかないで絶滅しかねない。◆ (12/30/2010)
[…] This post was mentioned on Twitter by emuty, Hiroki Kamata. Hiroki Kamata said: 雑誌業界が期待したiPadマガジンだが、米国での今年の結果は惨憺たるもの。原因は定期購読を困難にしているアップルの政策 […]