英国の出版情報サイトThe Booksellerは、このほどFutureBook 2010という名の2回目の調査を行い、結果を発表した(11/30)。市場も出版界も、全体としてデジタルへの対応を加速している中で、書店だけが取り残されている現状が鮮明になっている。アマゾンなどのオンライン書店と出版社の直販に挟撃されて、書店は厳しい選択を迫られている。
2,600人の回答者の約80%が、E-Bookを読んだことがあると答えたが、これは前年調査に比べて倍増している。また47%はE-Bookを購入したことがあるとしたが、前年の18%と比べると3倍に近い増加。調査をリードしたフィリップ・ジョーンズ副編集長は、「われわれはすでに電子的に読み、電子的に買っている」と述べている(11/29)。しかし出版社の85%は書籍やジャーナルの電子版を販売しているのに対して、書店では37%となる。また、2020年までにデジタル・コンテンツが売上の20%を占めると考える者の割合は、出版社で半数を超えたのに対して、書店関係者は3分の1だった。書店側はデジタル出版についての情報を提供しない出版社への不信を募らせているようだ。
E-Bookの価格に関する質問では、全体の約半数が印刷本の最低価格(ペーパーバック版)よりかなり安い価格で提供されるべきだと考えるのに対して、出版関係者の過半は印刷本と同水準でよいと考えている。英国でもエージェンシー・モデルが導入されているが、出版社はまだE-Bookの売上を最大化する最適価格を発見できていない。ジョーンズ副編集長は、まだ相場観が確立していないために印刷本価格に依存する傾向があると見ているようだ。
英国のE-Book市場は米国に遅れて立ち上がりつつあるが、E-Readerの低価格化と販売店の増加、E-Bookのタイトル数の増加により、2011年の売上は4倍増が見込まれる、と同副編集長はコメントしている。◆ (12/02/2010)