英国政府がE-Book販売代理制を公正競争で調査

Booksellers.com (2/1)によると、英国公正取引庁(OFT)は、相当数の申し立てに基づいて、E-Bookのエージェンシー価格制(代理販売)の当否についての調査を開始することを明らかにした。OFTはこれが「一部の出版社が一部の小売業者に対し、E-Bookの販売において導入している取決めが競争ルールに違反していないか」に関するもので「調査はまだ初期段階にあり、当事者が公正競争法規に違反しているとの予断を持つべきではない、としている。

英国の独禁当局がクロと判定した場合には、違反企業には罰金あるいは代償措置が課されることになる。しかし、OFTのスポークスマンは、当局に代理販売制を停止させる権限があるかどうかについてコメントを避けた。Amazon.co.ukは2010年10月「読者、著者、書店、出版社にとって有害なアプローチである」と表明し、「私たちは英国において、E-Bookの高価格に反対するたたかいを続け、代理制を検討している出版社には、消費者に無用な高価格を押し付けないよう求めていく」としていたが、今回の申し立てに直接関係しているかどうかは明らかでない。

英国での代理販売制は、2010年9月にアシェットが導入し、11月にハーパー・コリンズとペンギンが11月に、サイモン&シュスターが年末に続いた。マクミランとキャノンゲートはまだ導入していないが、アップルとの間で契約は済ませている。

エージェンシー・モデルは誰のためのものか?

米英では、小売業者への再販売価格の強制は違法であるが、返品の不要なE-Bookについて、大手出版社はオンラインストアを「販売代理業」とすることで、印刷書籍市場(小売価格自由)と区別させ、小売価格設定の権利を獲得した。もちろんアップルが大手出版社と協議の上で、iPadの販売とともに導入したものである。E-Bookの積極的なディスカウントを行うアマゾンに対して、新刊ハードカバーの販売低下を懸念する出版社が求めたことが背景にあるが、通常の卸販売を拒否したことで、アマゾンとトラブルを生じたことはまだ記憶に新しい。ランダムハウス社のみは卸販売を続けている。価格を維持したい出版社に対して、安くして大量に販売したいアマゾン(あるいは他の書店)という構図がある。

OFTとしては、小売ではなく販売代理のみを認めるという出版社の対応の適法性、それによってE-Bookの価格が上昇し消費者が損失を被った事実、などについて調査することになろう。クロと認定されたり、是正措置を命じられる可能性も少なくない。しかし、この代理制は、必ずしも出版社にとってメリットがあるわけではない。

  1. 小売価格を出版社が決め、書店の競争条件を一律にすることは、これまでの慣習からすると少なくともE-Bookの販売にとってプラスではなく
  2. E-Bookと印刷書籍の“共喰関係”が明確に立証されないまま、逆にE-Bookのほうが最優先されるべき出版社の主力商品に成長する趨勢にあり
  3. 代理制を導入したパートナーのアップルは、事実上アマゾンやB&N、ソニーなどの有力なストアがアップル製品を利用することを拒否した

からである。とくに3点目は今後重要な意味を持つと思われる。アップル製品が汎用の読書プラットフォームとして機能することは、アマゾンに対して代理制を呑ませる上での武器となっていたからである。しかし、アマゾンが大半のE-Bookを販売する能力を持つ状態は変わっておらず、iPadでの販売は期待外れに終わった。出版社にとっても、このシステムの有効性について再考すべき時期だろう。 (鎌田、02/02/2011)

Trackbacks

  1. […] This post was mentioned on Twitter by Hiroyoshi Watanabe, Hiroki Kamata. Hiroki Kamata said: 英国公正取引庁がE-Bookの「エージェンシーモデル」について調査を開始。紙の書籍を守るために、大手出版社がアッ […]

Scroll Up