学術・専門書で知られるシュプリンガー社は2月15日、5万2,000点の同社電子出版物がGoogle eBooksoreで提供されることになったと発表した。2006年以前はスキャン画像、2006年以降はPDFファイルとして提供され、毎年4,000点あまりを追加していく。すでにKindleでは提供されていたが、2006年以前の画像版を加えたことで、同社の扱いではGoogleが最大となった。近くB&NのNookStudy、Kobo Books、B&T BLIO、Entourage、アップルiBooksへの提供も開始する。
画像とPDFという、やや変則的な形を先行させたのは、同社のコンテンツには図表や脚注など構造の複雑なものが多い上に、組版でも数式や化学式など、TeXやMathMLでなければ扱えないものが多かったためと思われる。提供プラットフォームの拡大に合わせて、今後ePUBでも提供していくというが、リフロー型フォーマットでのスタイルをどう解決するかが注目される。電子商品担当のレイ・コロン部長は「当社のコンテンツの大部分は、画像、数式、表を多く含み、教育や研究開発に使われていますから、読者にとってのユーザー体験が最も重要な意味を持ちます。様々なデバイスやプラットフォームで、ユーザーとの距離を近づけてくれるパートナーとの協力に期待しています。」とコメントしている。
高度な知識情報を含む教育・学術・研究開発系コンテンツは、非常に奥が深く、同時に外部アプリケーションやサービスと連携することで大きな可能性を秘めている。シュプリンガー社が画像という最も原始的な形式をベースとしたのは、現実的な判断と言える。またデバイスやプラットフォームに対して中立的な姿勢をとっているのも賢明だ。E-Bookにおける複雑な情報(日本語組版もそのひとつ)の表現、サービス・インタフェース仕様の国際標準化は、こうした分野では進みやすいので、シュプリンガーやマグロウヒルなど学術系出版社にIDPFでイニシアティブをとってほしい。◆ (01/17/2011)
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