ピアソン・グループのファイナンシャル・タイムズ紙(FT)は4月4日、IAP (アプリ決済)に関連したアップルの要求を拒否し、iPadアプリを取下げることを明らかにした。アプリを通して契約した読者プロファイルが得られないことを理由としたもので、読者との直接的関係の維持はFTのビジネスの根幹に関わるものであるとしている。FTの有料購読者は59万人で、印刷版の定期購読者の44万人より増やすことに成功している。購読と広告を組合せたオンラインビジネスで成果を上げているFTにとって、読者プロファイルが得られないアプリは何の意味もない。
プラットフォームの重心はソーシャルメディアに移行
最近iPadニュースを始めたNews Corp.のThe DailyやThe Times、New York Timesなどと違って、FTは購読と広告のベストミックスを発見し、機能させてきているので、今回の決定は当然と考えられている。FTは最近、Facebookとのサービス統合に関して交渉を開始したが、これはログインを連携させることで読者がFacebookを使ってソーシャルネットワークに記事を薦めやすくするものだ。登録読者への転換率は、Facebookからの読者は一般読者の4倍に達するという。つまり、メディアにとってはFacebookのほうがiPadよりも魅力が大きいことを意味している。ちなみに、iPadユーザーは、アプリではなくSafariを通じてFTのサイトにアクセスすることが出来る。 ◆ (04/07/2011)