NYで開催中のBook Expo Americaで5月24日、BookStatsという販売データサービスが発表された。これは米国出版者協会(AAP)と出版シンクタンクのBook Industry Study Group (BISG)の提携により実現したもので、米国内の大小出版社1,100社の印刷本とE-Bookの卸販売額を、分野やチャネル別にトラックする、従来にない正確な販売統計が、過去3年に遡って提供される。従来はAAP加盟の有力企業14~16社分)の数字だけがあり、中小を含めた数字は推定されるしかなかった。新しいレポートは7月から提供される(有償)。
統計は産業のインフラだが、技術的、組織的構成の変化に対応した更新(メンテナンスと改訂)が重要で、それを怠るとしだいに内容の乏しいものとなり、それによって産業としての輪郭が薄まっていく。音楽産業がそうだ。形のない商品を扱うデジタルコンテンツでは統計はとくに重要なものだ。AAPが会員以外からも数字を集めるというのは画期的なことで、バウカー社(RR Bowker)が提供する分野別出版統計とともに、両輪が揃ったことになる。集計システムの変更は、それ自体エネルギーのいることなので産業の成長期にしかできない。
バウカー社のギャラガー副社長は、同社の調査によれば、企業の規模に関係なく、半数を超える出版社が成長していると述べている。企業規模ごとの売上の推移を見るのも楽しみだ。またオンデマンド印刷本に関するデータもほしい。◆ (05/25/2011)