米国出版業界のシンクタンクであるBISG (Book Industry Study Group)は4月28日、E-Bookの消費者動向に関する最新の調査レポート(有料)を発表した。昨年10月に5%だったデジタル読者は、ホリデー・シーズンを挟み、わずか3ヵ月で13%に急上昇。その最大の理由は無料サンプル本と低い価格だった。なかでも、週に1冊は読むという「パワー・リーダー」ほど、紙やPCから専用端末あるいはタブレットでの読書に移行している。リーダについては、静的か動的か、というコンテンツの性格によって、専用リーダとタブレットに分かれる傾向が見られた。
ジャンル別ダウンロード数では、SF、ラブロマンス、その他の小説がそれぞれ20%を占めてフィクション優勢は変わらなかった。E-Bookの消費者の3分の2は、ほぼデジタルを優先して読んでいるという数字もある。デジタル化は加速している。出版界にとって、たぶん最も喜ばしいことは、高額なハードカバー本の売上が落ちている一方で、書籍全体としては購入額、点数ともに増加しているということだろう。前回調査で、デジタル読者は「多く買っても金額は少ない」とされたが、今回は増えた。無料サンプルで本を沢山読む癖をつけることが、結局は最も有効なマーケティングと言えるかもしれない。
「E-Bookリーディングに関する消費者動向」と題したBISGレポートは、2009年11月以降、1年半にわたってE-Bookとリーディング・デバイスの市場動向を定点観測しているが、今回は第2年度目のシリーズ第2回。バウカー社のPubTrack Consumerの調査プラットフォームを利用して行われている。これはプロファイル化された6万5,000人の「パネリスト」から毎月3,000人のグループを抽出して実施・分析しているもの。詳細は以下。 ◆ (05/03/2011)