『ハリー・ポッター』を直販するPottermoreのコンテンツ配信に、Googleが協力することが7月20日のGoogleの発表で明らかになった。10月初旬に予定されているサービス開始に合わせ、Pottermore.comで購入したコンテンツは、米国内からGoogle eBooksプラットフォームで利用可能になり、ユーザーは、クラウド上のライブラリに保存し閲覧出来る。アマゾンとも交渉中と伝えられており、印刷版で4.5憶冊を販売したこのメガコンテンツは、プラットフォームの壁を壊すことになりそうだ。
Googleは「Pottermore.comにおける購入のすべてについて推奨サードパーティ決済プラットフォーム」としての地位を得た。つまり、クレジットカード決済と並んで、Google Checkoutが選択肢として提供されることになる。Googleのサービスとしては初めて大々的にデビューする機会を得た。Googleはこの夏さらにタイアップ事業を発表するとしているが、Pottermore側はGoogleを使ってアマゾンから有利な条件を獲得しようとしているものとみられる。
アマゾンのスポークスマンは、TechCrunchに対し「当社はKindleユーザーがJ.K.ローリング『ハリー・ポッター』作品を購入して読めるように、Pottermoreと緊密に協力しています」と述べており、B&NやKoboも同様になると考えられる。このコンテンツがDRMフリーであることはすでにお伝えした。日本の出版界ではDRMは「常識」のように考えられているが、KindleでもDRMを付けるかどうかは出版社の判断に委ねられている。『ハリー・ポッター』がDRMフリーで主要プラットフォームから提供されることの意味は大きい。
TechCrunchのジェイソン・キンケード氏は、アマゾンのスポークスマンの表現から、コンテンツが通常のKindle環境とは別のウィンドウで提供される可能性を否定していない。購入に関しては、Pottermoreで購入した際にプラットフォームを指定してダウンロードする形となりそうだ。あとはアップルがどう対応するか。 ◆ (鎌田、07/28/2011)