デバイス関係の調査会社IHS iSuppliは8月24日、メディアタブレットの世界市場見通しを発表し、2011年の市場規模は6,000万台で、うち4,420万台(73.3%)をアップルiPadが占めると予測した。同社は引続き2013年までは50%超を維持するが、その時点でタブレット市場は2億台に達する。2015年でも43%と予想。IHSのレポートは、前回(5月)からiPadへの「抵抗勢力」が予想より弱体化していることを受けて修正したもの。HP TouchPadの撤退とAndroid機の伸び悩みを反映している。
同社は、2010年のタブレット販売数を1,740万台としているので、6,000万台というのは245.9%の成長ということになる。IHSのシニアマネージャーのローダ・アレグザンダー氏は「ライバル企業は、ハードウェア、マーケティング、アプリケーション、コンテンツの最適な組合せという点で、iPadに匹敵する製品を出せそうもない。さらにアップルによる特許訴訟で、いくつかの重要な地域市場に競争相手が展開する速度を鈍らせる。ライバルの多くがまだゲートに入れていない中で、1周以上のリードをつけたアップルの独走は続く」と述べている。
筆者は、過去の単純な延長上に数年先の将来を予測することを好まない。iPadはiPhone由来の豊富なアプリを持った多機能デバイスとして評価され、期待を集めているが、現実の使われ方(Webブラウジングが圧倒的)を評価しないと、明日が今日までの続きになるとはいえないからだ。それはIHSの視野からは外れている。ここでは3点だけを指摘しておきたい。
- アップルの成長は主として中国市場に依存しており、これが不確定要素を含む。
- 価格を引き下げたHP TouchPadが爆発的に売れたように、多数の潜在消費者はさらに低価格のタブレットを期待している。
- 方向を間違ったこれまでのライバルに比べ、アマゾンは膨大なコンテンツストアを持った正統的な「メディアタブレット」を準備している。
◆ (鎌田、08/25/2011)