E-Bookの価格決定問題:実験と分析 (♥)

E-Bookは徹底的にマーケット指向の商品であり、いくら価格を機械的に固定しようとしても、最適価格の追求は止めることが出来ない。出版社もオンラインストアも売上を最重視し、売上=利益はリアルタイムで計算できるからだ。4年あまりの米国での「社会実験」の結果、価格についてかなりのことが判明してきた。重要なことは、昨年はアップルとともにエージェンシー価格制の徹底に動いた大手出版社が、今年は姿勢を緩和し、市場から学ぼうという意識を持つようになったことだ。油断のならないパートナーであるアマゾンとともに。[全文=会員]

大手6社とアマゾンが共同で低価格実験セール

最適な価格設定を出版社とともに探ろうという“Sunshine Deals”セールの成功に気を良くしたアマゾンは、7月18-27の10日間、今度はランダムハウスなどの大手出版社の参加を得て"The Big Deal"セールを行った。900点以上のコンテンツを、$0.99、$1.99、$2.99、$3.99の4種類の安値で販売し、結果をみたもので、エージェンシー・モデルを採用して通常は10ドル以上で販売している書籍を含むだけに結果が注目されている。ダン・ルバート氏のeBook MarketViewが結果の概括的な分析を提供しているので見ていこう。なお、期間中にNookストアなども価格を合わせたので、Kindleストアだけが最安値を出すことはなかった。

Kindleベストセラーリストの平均価格は、7月18日から一気に低落し、9ドルから6ドルとなった。3ドル以下のタイトルは、20日から急増し40点台となり、最高で半数に近い49点となった。4ドル以下のタイトルを出版社別にみると、ハーパー・コリンズ社のみがベストセラー入りを大きく増加させ、最高で9点をランクインさせ、今回のキャンペーンでの勝者となった。4ドル以上のものを含めても、ハーパーだけがシェアを上げている。ハーパーがなぜ成功したかは、今後の分析に待とう。(→次ページに続く)

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