トリビューン社も購読者にタブレット配布を計画(♥)

米国フィラデルフィアのInquirerとDaily Newsの2つの新聞が、購読者へのAndroidタブレットの配布を試験的に始めたというニュースを先月(07/14)お伝えしたばかりだが、米国を代表する大新聞の一つであるシカゴのTribuneも同様のことを検討していることをCNNが8月9日付記事で報じた。オーナーのトリビューン社はLA TimesやBaltimore Sunなどの有力紙やTV局を保有するメディア企業で、その展開が注目されている。

Androidタブレットを無償ないし特別価格で提供

タブレットについては、Androidベースという以外に情報がないが、内部関係者の取材によれば、購読者に対し、オプション契約により無償ないし特別価格で提供され、提携電話会社の無線通信サービスも付属するという。デバイスの供給については、サムスン電子その他と交渉中の模様。

CNNによれば、このプロジェクトは、トリビューン社のCEO兼発行人でテクノロジストとして知られるエディ・ハーテンスタイン氏(写真)が最も熱心に推進している。いわば「ペット・プロジェクト」ということだ。同氏は衛星放送会社のDirecTVの創業者で、Sirius XM Radioや半導体のSanDisk、Broadcomの役員も務め、業界では最もITを知悉している人物として知られている。匿名で取材に応じた社内関係者の間でも成否の評価は分かれている。インク価格の上昇で印刷紙面の製作コストは上がり、デバイスの価格が下がっているので、広告収入がバランスするところまでいけば、ビジネスモデルとして成り立つという見方と、デジタル広告が伸びていないから無理、という見方の対立は、結局実験してみるまでは平行線となる。

新聞社が単独で購読+広告のビジネスモデルを完結させることは容易ではないし、新聞社(メディア企業)もロスリーダー戦略を1年以上続けることは困難だろう。米国でのタブレットの普及率はまだ8%程度で、これが30%を超えるまでには数年はかかる。しかし、アマゾンが加われば話は変わる。アマゾンはタブレットを格安で(あるいは無償で)提供し、メディアコンテンツ販売から日用品の通販などに至る事業で提携することが出来る。アマゾン自体は広告ビジネスをやっていないことは、新聞と組む上では有利だ。

ニュースメディアのデジタル・パラダイムへの移行は、ケーブルTVや衛星放送以来のメディアビジネスの再編を伴い、その影響はかつてよりも大きいものとなるだろう。ハーテンスタイン氏は、巨大設備産業であったメディアがインターネット時代にどう生き残り、将来を切り拓けるのかというとてつもない課題に挑戦している。  (鎌田、08/11/2011)

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