ペンギンやランダムハウス社に続き、ラガルデール・グループが8月31日、今年前半の決算を発表した。アシェットの親会社である出版部門のラガルデール・パブリッシング(ブランドはHachette Livre)は、9億7,500万ユーロ(1,053億円)の売り上げに対し、収益が約7%減の1億6,800万ユーロだったが、好調だったのは英語圏のE-Book販売で、E-Bookの売上比率は米国法人(旧Time-Warnerを吸収したHBG)で20%、英国で8%を占めた。
E-Bookだけに注目してみると、昨年の2倍あまりで、他社と共通している。印刷本の停滞、不振に対してデジタルの絶好調という傾向も共通している。仮に後半も前年比2倍の勢いが続き、印刷本が足踏み状態であったと仮定すると、E-Book比率は35%を超え、4割に迫る事態となる。米国では、ペンギンが14%、サイモン&シュスターが15%なので、これらも3割近くになりそうだ。これほどのE-Bookの伸び率に対して、印刷本がどうなるかが、後半の最大の注目点となるだろう。
蛇足ながら欧米の大手出版グループは国際的な事業を展開しており、各社ともデジタル化が急進展する英語圏でシェア争いに生き残り、米国で成功した手法とインフラを使って、しだいに欧州、それ以外の地域圏に進出していくことを目指す戦略をとるものとみられる。 ◆ (鎌田、09/08/2011)