消費者の満足が市場を活性化する:BISGレポート

米国のシンクタンクBook Industry Study Group (BISG)の「E-Bookでの読書に関する消費者態度調査」の最新版(Vol.2)が11月9日に発表され、市場の拡大とともに消費者の満足の高さが浮き彫りになった。過去18ヵ月間に印刷本を購入し、同時にE-Bookも買った消費者の50%近くは、好きな作家の新刊を、3ヵ月までなら電子版の発売を待つと回答した。1年前の調査では38%だった。BISGでは、消費者の態度が、数ヶ月の単位で変化していると述べている。レポートの提供は11月21日の週から。

デジタル読者が出版市場全体を牽引

Vol.2で明らかになった点には以下のようなものがある。

  • 積極的消費者(パワーバイヤー)ほど本を読む。毎週のようにE-Bookを買っているという消費者の46%は、フォーマットによらず購入金額を増やしたと回答している。これは全回答平均の30.4%より高い数字で、彼らが全消費者の行動を3~6ヵ月、リードしていることを示している。
  • プラットフォーム別満足度でアマゾンの勢いは止まらず。アマゾンはE-Bookの購入(70%)でも情報(44%)でも、消費者に選ばれており、B&N(26%)とアップルが続いている。他方で図書館が増えていることも注目される。
  • E-Book読書の障害は減少している。入手性に関する懸念は縮小、デバイスの価格はなお問題ではあるものの、問題は「何もない」とする消費者が、昨年の17.6%から33%に増えた。

出版市場調査の新傾向

この消費者調査は2009年から始まり、昨年に最初のレポートが刊行された。調査時点から最大18ヵ月以前にE-BookあるいはE-Readerを購入したことのある印刷本購入者を対象とした、全国規模のパネルサーベイに基づいている。バウカー社のPubTrack Consumerサービスの一部を構成するもので、四半期毎の要約版も発行される。データは、毎月約6,000人を新規に選び、本の購入行動について回答を求めている。累計の対象者数は65,000人にも及ぶ。今回の有効サンプルは750人。今年11月にスタートするVol.3のサイクル(~09-2012)では、Real-Time ReportingというWebベースのオンライン・ツールで提供されることになる。

この調査は、出版情報サービス会社、シンクタンク、調査会社が運営・実施に当たり、大手出版社、書店、テクノロジー企業がスポンサーになって行われる大規模なもの。従来の静的統計とは異なるもので、こうした調査がなされること自体、デジタル化によって市場がダイナミックに変化し、ビジネスとしての出版の魅力が増していることを示している。 (鎌田、11/10/2010)

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