テクニカルサービスや拡張E-Bookの出版を行うVookは、製作において問題を起こすフォーマット・エラーを解説したホワイト・ペーパー「E-Bookエラー:よくある5つのトラブルを避ける方法」を無償公開した。EPUB本の著者エリザベス・カストロや、Open Roadのパブロ・デフェンディーニ、Booksquareブログのカーシャ・クロージャの3人のエキスパートが協力している。英文だが短いので読みやすい。ペーパーが指摘しているように、対策には制作システムをデジタルベース(見かけ上は両対応)に改めるしかない。
ここで取り上げられている問題は、ハイフン付ヘッダ、章タイトル、ヘッダとサブヘッダ、目障りなインデントと不規則な空白ページ、処理不能文字の混入、E-Bookにおける美観。これらはMS WordやInDesignからEPUBへのファイル形式の変換の際に生ずることが多い。ペーパーは、エラーが生ずる要因として、これまで印刷本をターゲットに、そのためのツールで制作されてきたファイルが、画面を出力をコントロールするフォーマットに変換される際の問題を指摘している。例えば、一般的にワープロではインデントにタブ・キーを使い、分割には実行キーを使うが、これらはE-BookE-Bookフォーマットには変換されない。変換ツールは「スタイル」指定を読んで変換するのだが、Wordなどでスタイルを使う編集者は多くない。
印刷本のファイルは電子本には使えず、その逆はあり、ということなので、解決としては共通のXMLファイルをもとに、EPUBなどのE-Bookと、InDesignなどのDTPフォーマットを出力するような正朔システムに変更にするしかない。このXMLファイルは異なる電書フォーマットにも変換が容易だ。技術的には簡単で、それによってE-Book製作コストは劇的に(最大100%)下がるのだが、そのためには編集者の協力が必要ということだ。出版社の問題はどこでも問題は共通らしい。◆ (11/10/2011)