米国出版卸B&TがインテルAppUpにE-Bookストア

米国の老舗書籍卸大手ベイカー&テイラーは1月10日、薄型モバイルPCのUltrabookのためのコンテンツ・プラットフォームAppUp Centerを通じたE-Bookソリューションの提供に関し、インテル社との間で合意に達したことを明らかにした(リリース)。デジタル化に伴って卸と小売の境界は無意味化しているが、卸売企業による小売ビジネス参入も必然と言えよう。しかしこの異業種提携を機能させるのは、そう簡単なことではない。

新しいサービスは、世界の数千もの出版社と取引があるB&Tのネットワークを通じ、一般書、児童書、教科書、実用書、料理本、旅行本など総合的なタイトルを扱い、レイ・カーツワイル氏のK-NFB社(K-NFB Reading Technologies)が開発・提供するBlioリーダ・アプリを使って提供される。Blioは東芝も使っている拡張E-Bookを扱えるマルチデバイス・リーダだ。リリースを見る限り、販売の主体がインテルなのかB&Tなのかは明確ではない。常識的には後者だが。

Ultrabookはインテルが提唱する次世代PCの規格で、タブレットに対抗するモバイル・プラットフォーム戦略の要に位置する。開催中のCES2011でも、これに重点を置いていたが、UI技術でも新しいものを提供していくとのことで、タッチセンサを搭載し、タブレットとPCの、一種の両棲類のような特徴を持っている。しかし、インターネット中心の時代にWintelエコシステムの単純な再現は不可能であり、21世紀のプラットフォーム勝負は地上ではなく空中で行われる。制空権を持たず、また制空権を持った同盟軍を持たないインテルとしては、やむを得ず(?)立ち上げたのがAppUp Centerだ。

2年前のCES2010でデモした当時は、Windowsアプリ・ストアという、あまりパッとしない位置づけのものだった。現在でもまだ本格的なビジネスという印象はないが、Ultrabookの成功のためにはこれを本格稼動させる必要があるだろう。B&Tとの連携が、果たして新たなプラットフォーム・エコシステムへの一歩を意味するものかは不明だが、やはりまだ何か足りない。消費者を直接相手にしたことがない企業同士のパートナーシップだからだ。

B&Tはどうだろう。同社は出版社と書店をつなぐ存在だが、小売への進出は書店との関係の再構築を必要とする。書店との共栄型サービスを提案できれば、新しいビジネスモデルとして面白い存在となるかもしれない。何よりも本の流通・価格情報を持っており、これは価値が高いものだからだ。しかし、消費者に近い部分のリソースが欠けており、インテルとの提携では埋まらない。  (01/12/2012)

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