アマゾンは1月12日、Kindle貸出ライブラリの実績を発表した。とくにアマゾンが一定期間独占権を持つKindle Selectコンテンツの12月の貸出は29万5,000点で、このプログラムを利用する著者は、1回の貸出で$1.70の収入を得た(計約50万ドル)。興味深いことに、貸出によって販売も伸びており、ライブラリにコンテンツを提供している著者の収入は、全体平均を26%上回った。[全文=♥会員]
Kindle Owners’ Lending Libraryは、年間約80ドルを支払ったAmazon Primeの契約者が、月1冊の割でE-Bookを借り出せるようにしたもので、12月現在で7万5,000点のタイトルを提供している(11月の発足時は約5,000点))。大手出版社の参加が得られなかったので、主に自主出版タイトルが並んでいる。アマゾンはKDP Selectという総額600万ドルのファンドを設定し、毎月50万ドルをダウンロード数に応じて著作権者に配分しているが、12月の実績をみて70万ドルに増額された。著者は販売と貸出の両方で収入を得る。
アマゾン・エコシステムの成長を示す
KDP Selectのトップ10の著者は、これに参加したことによって、12月だけで7万ドル以上の収入を得た。アマゾンのグランディネッティ副社長は、貸出された本の販売が増加したことに「驚いた」と述べている。KDP SelectはアマゾンKindleプラットフォームでの独占出版契約で、著者は販促などで優遇される。貸出1回で1.7ドルというのは、自主出版物の大半が3ドル前後であることを考えると、かなりの額であり、著者のメリットは大きい。恋愛小説作家のキャロライン・マッケイ氏は12月の収入が前月の4倍の8,250ドルとなったとしている(前記リリース)。作家のジョー・コンラス氏は、アマゾンのKindle自主出版での最近の実績レポートをブログで発表し、最近の3週間で10万ドルを超えたことを明らかにした。年を越してからも好調で、1月の1日平均売上は3,500ドルに達している。
Selectが機能するのは、アマゾンがオンライン市場の70%を占めており、自主出版物に限れば、そのシェアは90%を優に超えているからだ。歴史ファンタジー作家のスコット・ジョンズ氏は、B&Nその他のプラットフォームに比べて、100倍近いパフォーマンスの差があるので、自主出版者はアマゾンに集約しても機会損失はほとんど生じないと指摘している。多くの作家を実際に儲けさせることで、アマゾンは著作者の支持を増やしており、それによりKindle Selectをさらに拡大し、Kindleでしか読めないコンテンツを増やして優位を確固たるものとしようとしている。B&NもPubItというプログラムがあるが(参加1.1万、6.5万タイトル)有効な販売方法を確立できていない。
アマゾンの今回の発表は、大手の不参加で成立が疑問視されていた貸出プログラムが、独自のエコシステムだけで成立することを示したことになる。 ◆ (01/17/2012)
翻訳者の方と相談しつつ、eBookProでは海外向けにリリースした「Let’s Play Shogi」いち早くKDP Selectを利用してみました。
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