ドイツのドッペルテクスト(Doppeltext)は、読者が辞書を使わず、センテンス(および文節)単位で翻訳を参照しながら外国語の作品を読むことを可能にする、世界文学の二ヵ国語E-Bookを発売した。原文をストレスなく読めるように、訳文を高速表示するアルゴリズムを開発したという。仏独露西の4ヵ国語の古典を、適当な長さの英訳文を挿入しながら読み進めるようになっている。タブレットやスマートフォン、E-ReaderやPCなどで利用できる。KindleはWebブラウザ利用。
Doppeltextは自動翻訳ではなく、定訳的な英訳版を利用する。フランス語ではヴォルテール、バルザック、デュマ、ユゴー、フロベール、モーパッサン、メリメ、Ch.ペロー、プルースト。ドイツ語ではシャミッソー、ゲーテ、E.T.A.ホフマン、ニーチェやカフカなどが3~15ドルで用意されている。英訳はプロジェクト・グーテンベルクなどの無償コンテンツとして入手可能なものだが、これらはあくまで原文を読むための補助として利用されている。iBooks2で読めるInteractive ePubsと呼んでいることから、ファイルフォーマットはEPUB3に準ずるものと思われる。訳文のポップアップは、JavaScriptとクッキーを使う。
こうしたスタイルは、外国文学/学習へのニーズが高い日本でも需要があるだろう。そして原文読み上げ機能と複合することも容易だ。付加価値機能のついた対話型コンテンツは、E-Bookでなければ不可能なものとして、市場が開拓重視されるようになるかもしれない。 ◆ (03/08/2012)