MSプレスが近刊のWindows本で新販促方式(♥)

マイクロソフト・プレスは、Windows開発者のバイブルとされる『プログラミングWindows』の著者、チャールズ・ペゾルド氏(Charles Petzold)のWindows 8プログラミング本(今秋発売予定)について、新しいスタイルのマーケティング・キャンペーンを始めた。執筆中のProgramming Windows第6版(予価50ドル)を5月後半にわずか10ドルで購入でき、その後のバージョンと最終版のE-Bookも貰える。数ヵ月以前から段階的に価格を上げていく手法はかなり革新的だ。 [全文=会員]

デジタル・ファースト時代の柔軟な価格設定

ベータ版は5月17日にリリースされるが、5月31日までの2週間に限り、Windows 8のConsumer Preview(ベータ版相当)に基づいた版を10ドルで購入することが出来る。それを過ぎて最終リリースまでは20ドル。さらにはRelease Preview(6月第1週リリース)に基づいた版を今年の夏の2週間に30ドルで販売。それを過ぎると40ドルとなり、最終版は定価50ドルで販売される。最終版を含めて5つのバージョンを5種類の価格で販売することになるが、早い段階で購入すれば、その後の版が貰えるので、大半の開発者は10ドルで購入しようとするだろう。100万部単位の部数となることは確実。

  • 5月17-31日:Consumer Preview E-Book(Windows 8 Consumer Preview準拠) 10ドル
  • 6月1日~Release Preview E-Book発売まで:同上、20ドル
  • 2012年夏の2週間:Release Preview E-Book(Release Preview準拠)30ドル
  • ~最終版発売まで:同上、40ドル
  • 最終版E-Book:2012年秋

第6版は、革新的なUI (Metro)で期待の高いWindows 8を、これまでのプログラミング・スキルを役立てながら使いこなすための300ページほどの本。とくにXAMLとC#でWindows RuntimeにアクセスしてWindows 8アプリを開発するテクニックにフォーカスしている。C++のサンプル・コードも付いている。つまり、これはマイクロソフトがWindows 8のアプリを今秋までに揃える上でかなり重要な意味を持つ本といえる。同書が売れることで、オリジナル・アプリの整備が進み、iPadやAndroid用アプリのWindows 8環境への移植が進むことが、新しいエコシステムの成功につながるからである。

さらに、E-Bookの段階別リリースは、更新が頻繁に行われるソフトウェアの性格にうまく対応している。技術仕様の変更などに対応して細かい修正が必要となるので、E-Bookはコンテンツの提供形態として最適といえる。マイクロソフト・プレスは、このE-Bookの配信をオライリー1社を通じて行う。つまり、アマゾンでもB&Nでもなく、出版社は完全に価格を統一できる。オライリーは通常、DRMをかけずにPDF、EPUB、Mobiの3つのフォーマットで提供しているので、この場合もDRMなしで販売されると思われる。開発者は、ブログなどでの重要な情報発信者でもあるので、本書の内容を多くの開発者コミュニティで共有する上でもDRMはないほうがいい。

本の刊行までの4ヵ月あまりの間に3回の告知とキャンペーンを行うことで、効果的に潜在読者の関心を惹きつけるこの段階的引上げ方式は、読者にいち早くアクセスし、類書の中で別格のステイタスを築くことが出来る。デジタル・ファーストのかなり高度なマーケティング手法と言える。 (鎌田、04/26/2012)

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