メディア・タブレットは出版市場を拡げる

コンテンツビジネスのメディアとしてのタブレット(iPad/Android)の重要性を評価する上で注目される調査レポート(57ページ、有償)が、米国のABI Researchから発表された。今後5年間を予測したものだが、年平均でタブレット1台当たり31本のアプリのダウンロードを見込み、2016年に137億本を想定しているが、大半はE-Book、ソーシャルネットワーキング、コマースが占めると結論づけている。つまり、出版社にとってタブレットは主要なメディア・プラットフォームになるということだ。

ABIのアナリスト、マーク・ベッキュー氏によれば、メディアタブレットにおけるアプリ消費は、スマートフォンと異なり、書籍、雑誌、新聞など広汎なコンテンツの利用を爆発的に拡大する。さらにそうした汎用性によって、専用E-Readerに対しても優位を占めるようになる、という。対話性とUIデザインによって、出版社は、大きな文字を必要とする高年層(60+)、子供(1~9歳)で新規市場を開拓することができる。これらは、これまでコンピュータにもモバイルデバイスにも関係の薄かった消費者だが、アプリのタッチスクリーン機能によって、オンライン・コンテンツ市場の重要な市場となる。子供向けのアプリは、2016年で10億本あまりに達する。DVDプレーヤーはタブレットに置き換えられる。

メディア・タブレットの重要性について異論はないが、E-Readerに対する優位を単純に信じるわけにはいかない。第1に、タブレットがE-Readerを兼ねるという議論は2年前からあったが、事実としてまだ証明されていない。第2に、書籍とニュースメディア、対話的コンテンツを一緒くたにするわけにはいかない。E-Book市場における専用E-Readerはまだタブレットを圧倒している。第3に、E-ReaderもタブレットのUIをサポートし、一部はカラーや動画も扱えるようになっており、違いは縮小している。

にもかかわらず、タブレットが出版界にとって重要なのは、レポートが指摘しているように、アプリの読書体験によって出版社の新しい市場が生れるという点だろう。デジタル読書体験は、旧コンテンツに対しても有効だが、新しいタイプのコンテンツによって経済的に新しい読者を獲得することが出来るからである。  (鎌田、04/25/2012)

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