アマゾンは4月26日、1-3月期業績を発表し、売上が前年同期で34%増の131.8億ドルとなったことを明らかにした。利益は35%下落して1.3億ドル。わずか1%の利益率だが、アナリストは粗利益率の上昇などに注目している。成長性を評価したウォール街はこの結果を好感し、株価は13%上昇し、時価総額はきっかり130億ドルが上積みされた。これまで利益なき成長を歓迎しなかった投資家が、アマゾンの戦略に支持を表明したことになる(WSJ)。
前期(4Q11)の数字は35%だったから、今年の残りもこの水準の拡大を続けると、2012年の事業規模は800億ドルに近いものとなるだろう。Kindleビジネスの成功の指標であるメディア販売は21%増の25億1,000万ドルだったが、これはKindle Fireは主力商品として定着し、着実にコンテンツ収入をもたらし続けていることを示している。アマゾンの従業員数は6万5,600人となったことが発表されたが、これは1年前の73%増だ(左の絵は、アマゾンの社内で“ベゾスのナプキン・ダイアグラム”と呼ばれている戦略コンセプト。Seeking Alpha, 2/22/2009の記事による)。
ComScoreが発表したデータによれば、AndroidタブレットにおけるKindle Fireのシェアが54%と、昨年末の29%から倍近い上昇を示している。タブレット市場ではなおiPadが圧倒しているが、アマゾンはメディア消費を目的にしているので、その台数比較はあまり意味がない。デジタルコンテンツ市場でのシェアに注目すべきだろう。
ベゾスCEOはKindleエコシステムの成果を強調し、アマゾンが独占販売するKindle Storeのコンテンツが13万点に達し、トップ100の中でも16点をKSコンテンツが占めたことを自讃した。Amazon Primeメンバー向けのKindle Owners’ Lending Libraryの成功も強調していたが、今後も出版事業を拡大していくものと見られる。 ◆ (05/03.2012)