E-Bookは読書量を増やしているがiPadは?

米国出版産業のシンクタンクであるBISGは4月30日、E-Bookのリーディング・デバイスとしてのタブレットの人気が高まっているとしたレポートを発表した。2009年以降、厳密な手法に基づいて実施されているこの調査で、タブレットをファースト・チョイスとするユーザーは昨年8月の13%弱から、半年間で一挙に24%に上昇し、逆に専用E-Readerは72%から58%に急落した。しかしその上昇は、iPad(+1ポイント)によるものではなく、Kindle FireとNookなど非アップル製品(+9ポイント)によるものだった。

タブレット利用が増える中でiPadが読書に使われない謎

BISGのアンジェラ・ボール氏はこの変化について、「専用E-Readerから多機能タブレットへの移行は、よりリッチで対話的な読書体験を提供できるデバイスが増加しているという点で、出版社にとって重要な意味を持つ」とコメントしている。多機能タブレットでの利用拡大は、E-Bookの一般への普及と関係があると理解されるが、圧倒的なシェアを占めるiPadが、読書には不相応なまでに使われないという事実をどう考えるべきか。(1)iPadの対話的UIは、PC代替など、メディアの消費以外のことに向いている、(2)10インチ・サイズのiPadは、読書には必ずしも向いていない、といった可能性が考えられるが、その答はミニiPadが出してくれるかもしれない。

本誌でも必ず紹介しているこの調査(電子読書に関する消費者態度調査)は、バウカー社の調査部門(Bowker Market Research)が実施しているもので、直近では今年2月に行われた。E-Bookを購入してから、書籍全体の購入がどう変化したかをウォッチしているが、約50%が購入点数を増やしており、デジタルが市場を拡大している事実を裏づけた。とくに62%はE-Bookの購入金額を増やし、72%は点数を増やしている。本調査では、毎週1点以上を購入する「パワー(P)バイヤー」と月に1、2点の「カジュアル(C)バイヤー」に分けて観察しているが、E-Bookの浸透が進むとともに、C層がかなり活発な動きを示しており、もっぱらE-Bookを買う割合は、P層(30%)に迫る27%となった。「ゲームをするほうが好き」というのは、C層が37%でP層が35%、「ビデオのほうが好き」は、C層が23%でP層は21%と大差ない。しかし、P層の83%が日常的に多機能タブレットを使っているのに対して、C層は約半数に止まっていて、使用時間が少ない。

BISG/Bowkerの調査は、本の消費行動をカバーしており、市場の構造的な分析がある程度可能になっている。さらに、ミステリやSFといった分野別動向をカバーしてくれると有難い。 (鎌田、05/02/2012)

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