中国と合わせて世界のデバイス市場を席巻している台湾のE-Book市場は、2015年までに急速に成長するという台灣電子書協會の予測を台湾の英字紙Taipei Times(台北時報、5/7)が報じた。E-Readerとタブレットを合わせた端末が200万台に達し、これが電子出版のブームをもたらす推進力となると考えているようだ。漢字圏の台湾によるデジタルコンテンツ発信は、東アジアにも少なからぬ影響があるかもしれない。しかし、出版界の対応はまだ遅れている。(写真は国家図書館のアーカイブによる、湯顯祖撰『牡丹亭還魂記』)
台湾協会のユー会長(俞國定、Master60 Publishing Ltd.総経理)は、現在の台湾市場が米国から3~5年遅れているとした上で、米国と同様の成長軌道に乗るものと考えている。現在の米国市場は電子化比率が25%だが、3年以内に50%、5年以内に80%という、Publishers Weeklyのジョージ・スロヴィク社長の予想を下敷きにしている。日本の出版業界で同様に考える人は皆無だろう。ユー会長は紙の本への需要が無くなることはないので、出版界は紙と電子を効率的に出版する体制をとるべきだと考えている。現状の台湾市場は、紙が減り、電子の立ち上がりも遅れるという日本と同様の状態にある。彼が問題として考えるのは、出版社の電子フォーマットに対する無知、デジタルは海賊版を増やすという誤解だ。
なお、Taiwan Ebook Association (TEA)は昨年9月に誕生した電子出版の実務者の団体で、EPUBの普及にも当たっている。 ◆ (05/10/2012)
古典の電子化は日本よりも早かったと思う。