“ハリ・ポタ”のブルームズベリーがE-Bookで増益

『ハリー・ポッター』シリーズで知られる英国の中堅出版社ブルームズベリー (Bloomsbury Publishiong)は5月22日、好調な年度決算(~2月)を発表し、米国でのE-Bookベストセラーが利益率の向上に貢献し、13.6%増の480万ポンド(約6億円)となったことを明らかにした(ロイター5/22)。デジタル・コンテンツの売上は前年度の£220万から£570万に急伸し、シェアは6%となった。同社では、米国以外でのデジタルリーディング環境の普及に期待している。

ブルームズベリー出版(ロンドン)は1986年、ナイジェル・ニュートン氏が創業した、比較的新しい出版社だが、積極的に買収を重ね、英語圏の米・豪のほか、ドイツやカタール、インドにも事業展開し提携を進めるなど、世界展開にも積極的だ。1999年と2000年には英国最優秀出版社に選出されている。有力出版社が無視した“ハリ・ポタ”で成功したことはフロックと思えない。1995年にLSEで上場した。最近の売上は1億ポンドを超えた。今年はJ.K.ローリングの三巻本や第2次大戦のスパイを描いたノンフィクションを発刊予定であるほか、将来の成長を見越して学術出版分野に注力すると発表している。なお、“ハリ・ポタ”の電子出版権は著者が保有し、専用サイトPottermoreで販売している。

ブルームズベリーのように、成長機会を主として海外にもとめる、マーケティング志向の中堅出版グループにとって、E-Bookは大きな意味を持っている。印刷本の場合は輸出にしても現地制作にしても、販路の開拓やマーケティングに相当な投資が必要となり、回収には時間がかかるので、大手の国際出版グループにとっても効率が悪かったのだが、回転の速いデジタル出版を組合せることで展開を容易にし、リスクを低減し、出版を機動的に進めることを可能にするからだ。非英語コンテンツの版権獲得と翻訳・出版も迅速に進めることができる。全市場の4分の1をE-Bookが占めるようになった米国市場は、ベストプラクティスを確立する最高のステージと言えるだろう。  (鎌田、05/24/20)

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