米国出版者協会(AAP)は3月の純販売額を発表したが、今年最初の四半期(1-3月)を通して、成年向け書籍の市場で、初めてE-Bookがハードカバーの売上を抜いたことが明らかになった。1Q11では2億2,040万ドル対2億2,350万ドルであったが、1Q12では2億8,230万ドル対2億2,960万ドルと逆転している。印刷本はほぼ横ばいなので、E-Bookが3割近く伸びた結果の逆転であったということが出来る。ペーパーバックは10%ほど減らし、次のターゲットとなる (GalleyCat, 06/15)。
ハードカバーは減らず、ペーパーバックは減少
明らかにE-Bookの影響を受けたのはペーパーバック(PB)で、3億3,500万ドルから3億ドルを割って2億9,980万ドルとなった。10.5%の落ち込みで、これを一時的なものと視ることは困難だ。1年以内に、E-Bookがペーパーバックをも上回ってトップに躍進することはほぼ確実になった。E-Bookの増分は6,190万ドル。PBの減少分は3,520万ドルなので、出版界全体としてはカニバリズム現象が起きているわけではない。しかし、PBの市場の一部がE-Bookに置き換わったことは事実だ。外食店と弁当屋の間のカニバリはあっても、全体として業界は伸びており、しかもPBの製造とハンドリングの負担が軽減されたことで出版社の利益率は向上する。本誌が2年前から主張していたことだが、ようやく数字として証明されたわけだ。 ◆ (鎌田、06/21/2012)