マイクロソフトの支援を受けたB&N Nookの国際展開が注目されているが、英国のThe Booksellerは6月29日、「12ヵ月以内に10ヵ国」という数字を伝えた。米国証券取引委員会(SEC)に提出された文書(10-K form)で明らかにされたもの。KindleとKoboにだいぶ水をあけられているが、それほど焦っている様子もない。しかし、大型書店との提携、量販店との提携、直販(MS相乗り)の選択肢があるが、どれも簡単なものではない。出版社の世界戦略に対応する存在となるには、デバイスを売るだけでなく、各国の消費者の支持を得る必要があるからだ。
文書では、「確定してはいないが、当社はNookデバイスを2012年の休暇シーズン以前に米国外のいずれかの国で発売すべく、複数の流通企業との契約を締結しようとしている。」と述べている。近い将来、日本に来る可能性はあまりない。本誌で既報したように、米国以外での最大の英語圏市場である英国では、最大の書店チェーンWaterstonesが大方の予想を裏切り、B&Nではなくアマゾンとの提携を選択した。WH SmithはKoboのパートナーとなっており、残りはチャリング・クロス(ロンドン)の名門、Blackwell、Foylesなど。後者は独自に約10万点のE-Bookタイトルを販売しているが、提携の可能性を否定している。ドイツ、フランス、イタリアなどでも書店の提携相手は限られているので、量販店との提携、直販(MS相乗り)を含めて別のチャネル展開を開拓する必要があるだろう。 ◆ (07/03/2012)