欧州でKindleを凌駕することを戦略目標としている楽天/Koboは7月10日、イタリア最大の出版社兼書店のモンダドーリ社との提携を決め、今秋同国で立上げる準備に入った(→リリース)。モンダドーリ・グループは約400の書店でKobo Touchを€99で発売し、同時に4千点のタイトルをKoboに供給する。Koboはイタリア語タイトル3万点あまりでスタートすることになる。リアル書店とE-Bookの組合せは米国B&Nが成功させた手法だが、それ以外ではKoboが軌道に乗せている。
E-Bookと印刷本との「相反関係」は、全体としては存在しないことが事実上確定しているが。オンライン書店とリアル書店のほうは分からない。リアル書店で立ち読みした本をオンライン書店で買うということは、価格差がある場合に起きやすいことは確かだ。Koboは印刷本を販売しないので、リアル書店とも対立しない可能性が強い。しかしシナジーが生ずるためには、顧客に対して<デジタル↔紙>という双方向の誘導を行うことが必要となるだろう。消費者は、紙で欲しい本も、デジタルで欲しい本もあるからだ。アマゾンは両方をやっているので、新本、古本、デジタルという選択肢を提供でき、それで優位に立っているからだ。
カナダに本社を置くKoboは、米国、英国、オーストラリア、フランス、ドイツおよび日本からコンテンツを提供しており、グローバルな展開においてアマゾンと並ぶ存在となっている。Kobo Touchは日本で¥7,980と発表されており、これは米国と並んで安い。すでに1年あまり販売されているので、今秋には次世代機が発表される可能性が高い。 ◆ (07/12/2012)