バチカンは教皇が毎週行っているベネディクト16世の一般謁見演説をE-Bookアプリとして発行し、アップルのApp Storeからリリースする。2006年3月以降の計300回を超える演説集(各5,000字あまり、図版入り)が13巻に収められている。2000年余の歴史を持つバチカン最初のE-Bookの制作は、米国に本拠を置くデジタル出版ソリューション大手のAptaraが担当した。印刷版のページ構成を保持するため、アップルの固定レイアウト・フォーマットが使われている。当面はイタリア語版からスタートする。
教皇演説は、毎週行われており、毎回教会史における傑出した人物をとりあげている。アプリは当面、iPad/イタリア語版のみでイタリアのApp Storeから提供されるが、英語版も計画されている。教皇演説は日本語訳も出ているので、いずれは多くの言語で刊行されることになるだろう。また固定レイアウトのフォーマットは現在いくつかの方式があり、リーダ間で互換性がない。
アプタラ社のリリースによれば、デヴ・ガネサンCEOは、「グーテンベルク以前に設立された機関によってE-Bookが採用されたことは、画期的なこと」とコメントし「何世紀にもわたる印刷技術の伝統を持つカトリック教会による電子出版に貢献できたことはこの上ない名誉」と述べている。またバチカン出版所(Libreria Editrice Vaticana)のCEO、ジュセッペ・コスタ神父は「教会の布教活動にとって、あらゆる新しいコミュニケーション技術は重要」とし、E-Book版の品質は「文書の持つ偉大なイメージに新しい生命を吹き込む」ものと評価している。 ◆ (07/12/2012)