アマゾンは7月26日、第2四半期の業績を発表し、売上は前年同期比29%増加の128億3,000万ドル、逆に純利益が同96%下落して700万ドルとなった。利益はアナリストの予想を下回ったが、好調だった1Qの131.8億ドルの基調を引き継いでおり、株価も一次下落したものの、すぐに反発している。世界規模でのメディア商品販売は13%増の41.2億ドルと、全体の伸びには追いついていない。ホリデー・シーズンの余韻があった前期は47.1億ドルだったので、12%程度のダウン。
ベゾスCEOのコメントは、Amazon Primeを強調したもので、年間79ドルで通販商品スピード配達のほか、17万冊の図書貸出と1.8万本の映像コンテンツなど、破格のサービス商品であることを述べている。Kindle FireはなおAmazon.comの人気商品ナンバーワンを継続している。Kindleのベストセラー100点中20点はKindle Directプログラムの自主出版本という。トク・スクータクCFOは、デバイスとコンテンツがともに好調であることを強調している。なお、3Qの予想は、129~143億の売上に対して、利益は5,000万~3億5,000万ドル。
毎度述べているように、アマゾンは利益を出さずに投資の回転を高速化するスタイルをとっており、ゼロに近い利益はそれに変更がないことを示すものだ。人員の増加も著しく、前年同期末43,200人が69,600人に急増。1Q末の65,100人と比べても増加のペースは速い。配送センター(FC)への投資はさらに拡大しており利益なき成長も計算どおりだ。Kindle Nations Dailyブログのスティーブ・ウィンドウォーカー氏は、2013年までに米国の書籍小売市場全体の50%を占め、それは長期的で持続可能な利益をもたらすと予測している(7/26)。出版市場例を見ない独占状態となるが、KNDは、独禁当局の監視とアマゾン自身のビジネスモデル(イノベーション、効率、顧客体験重視)が、読者、著者、消費者に引き続き利益をもたらすと楽観しているようだ。◆ (鎌田、08/01/2012)