ニューヨークの新興デジタル出版社ル・フレンチ・ブック (Le French Book)は8月21日、最初のタイトルとなった犯罪小説3点を刊行した。同社はフランスのミステリ、スリラー、小説、短編、ノンフィクションを英語読者向けに翻訳出版することをミッションとしたもので、仏語圏の狭い市場しか持てず、世界的に見れば埋もれている傑作、秀作を英語に翻訳出版するプロジェクトとして企画された。出版のグローバル化、ローリスク化によって、こうした試みは増えてくるだろう。
ル・フレンチ・ブックは、商業性の高いフィクションにフォーカスしており、とくに受賞作、話題作の出版を目指している。最初の3点は以下。いずれもKindle、Nook、およびiBookstoreで購入できる。
- The Paris Lawyer by Sylvie Granotier(受賞サイコ・スリラー)
- Treachery in Bordeaux by Jean-Pierre Alaux and Noël Balen(ボルドーを舞台としたミステリー
- The 7th Woman by Frédérique Molay(フランスで最も権威ある賞を受賞した犯罪小説)
当然のことながら、フランスの出版活動は非常に活発で、9月だけで426点もの刊行が予定されているが、このうち英語に翻訳出版されるのは数点に過ぎない。これまで、異なる言語・文化圏の書籍の翻訳出版はハードルが高く、米国ではとくに少なかった。しかし、『ミレニアム』の大ヒットは、非英語圏の作品の潜在的商品性を認めさせ、出版社、アマゾン、著者、翻訳者によるグローバル翻訳出版が活発化している。◆ (08/23/2012)