デバイスの不振で泥沼脱出が遠ざかるNookビジネス (♥)

B&Nは8月21日、同社2013年度第1四半期(4-7月) の業績を発表したが、注目されるNook事業の売上は1億9,200万ドルと前年同期比でわずか1%増だった。しかしデバイスが大きく落ち込んだのに対し、デジタルコンテンツは46%増と好調を示している。事業収支は製品価格の低下や継続的投資などを反映して5,100万ドルから5,700万ドルへと10%ほど増加した。発光型のEインク・リーダGlowLightは生産規模が需要に追いつかず不発に終わった。他方で、懸案の世界展開への第一歩となる英国での開業は10月中旬と発表された。[全文=会員]

牽引車Nookデバイスの不振

Nookにおけるデバイスとコンテンツの関係は、アマゾンと似通っている。つまり、デバイスはコンテンツの売上げを牽引するということだ。デバイスあたりの売上は伸びており、オンラインストアのマーケティングが効果的であることを示している。しかし、全体を牽引すべきデバイスの販売台数が減少に転じたことで赤信号が点灯した。B&Nの1Q13は1Q12の数字とほぼ同じだった。1Q12の前年比が140%増であったのと比べ、成長がストップしたわけで、これはかなり衝撃的な数字である。コンテンツの成長率46%は業界標準に近いと思われるが、B&Nは雑誌やアプリの販売がE-Bookより高い成長率を示しているといっているので、E-Bookのシェアは低下している可能性が強い。四半期で150億の事業に対して45億円の赤字というのは、そういつまでも続くことではない。マイクロソフトとの提携発表で26ドルにまで上昇したB&Nの株価は、12ドルにまで下落した。

paidContent (8/21) は、Nookの不振の原因を4つあげている。

  • 新製品 (GlowLight)投入の失敗(機会損失)
  • 価格競争(Kindleに加えて、Google Nexus 7、iPad Mini)
  • 海外展開の遅延(Kindle、Koboとの差は縮まらず)
  • E-Book販売の減速とシェア低下(現在の推定25~30%)

デバイスの仕様はアマゾン、Koboとほぼ同じなので、製造ロットがコストの差を生むことになる。つまり数が多いほど1台当たり原価を下げられる。アマゾンが下げるほど、B&Nのロスは大きくなる。それに耐えかねてマイクロソフトに支援を仰いだのは周知の通り、Nook事業の赤字がやや拡大したということは、まだ問題が解決の方向に向かっていないことを示している。今秋にはマイクロソフトとの合弁会社(Newco)に移行することになっているが、動きが遅く、ビジョンも発表されていないので期待が萎んでいる。

成熟期に入りそうな米国でデバイスがそれほど動かないとすると、世界市場への展開しかない。そこでまず英国ということだ。10月にはNook Simple TouchとNook Simple Touch with GlowLightを発売する予定。しかし、英国でのパートナーはまだ発表されていない。アマゾンはすでに2年で地固めを終え、ウォーターストーンズ書店と提携したほか、Kindle Fireの英国発売を準備している。客観的にみてアマゾンとの差はさらに拡大しているようだが、コンテンツ市場が拡大していることは確実なので、機敏に行動すればアマゾンに負けないチャンスはまだある。 (鎌田、08/23/2012)

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