新聞のペイウォール:普及はしたが機能はまだ

米国新聞協会 (The Newspaper Association of America)は、Webサイトでペイウォールを導入している156紙を対象とした調査の結果を発表した。paidContent (8/1)が伝えるところによれば、87%がアクセス可能な記事の本数を制限するメーター制を採用しているが、平均の許容記事数は月間11.2本だった。また、印刷版購読者へのデジタル版無償提供は必ずしも一般的ではなく、実施をしているのは53%で、残りは割引価格で提供している。

ペイウォールを導入している新聞では、6%が25万部以上、4%が15~20万部、89%は15万部以下だった。大手はすでに導入している。許容記事数が10本あまり、というのはかなり少ない。NY Timesが最近、20本から10本に半減させたが、無料登録→有料への転換率が低く、また無料読者の広告価値が期待したほど高くないことを示している。特定のタイプの記事のみにペイウォールを導入する新聞は多くない。eBylineブログのスーザン・ジョンストン氏が紹介しているデータ(下のグラフ)によれば、ペイウォールの導入が始まったのは、NYTimesが導入した昨年で、3月がピークになっている。

ペイウォールはビジネスモデルとして未完成である。定期購読者30万が一つの目標値とされているようだが、これに達したのはFinancial Timesだけで、デジタル日刊紙としてスタートしたニューズ社のThe Dailyは不振が続いてレイオフを出した。詳細に検討したわけではないが、システム面でもマーケティング面でもまだ工夫の余地があるように思われる。たとえば、

  • アップルなどのストアに依存せず、サイトから簡単に購読が出来るインタフェース
  • 記事本数、対象を安易に固定せず、変化をつける
  • DMやSNS連動など、サイトへの関心を高める仕掛け

といったことが考えられる。デジタルコンテンツは、ユーザビリティとマーケティングを噛み合わせる工夫がないと何も起こらない。 (08/02/2012)

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