タブレットはデジタル読書の主流になるか

米国の調査会社ABI Researchが最近発表したE-Bookリーダについての報告書で、急伸するタブレットに比べて、メディアとしての市場的な地位が低下していると見られている専用リーダの将来について、予測可能な将来についてこのデバイスの重要性は変わらないという見方を示した。同じ傾向はBISGの調査などでも確認されているが、出版にとって移動書店としての専用リーダの重要性はむしろ増すだろう。タブレットは読書以外に使われることのほうが多いからだ。またタブレットは必ずしもiPadを意味しないことにも注意しなければならない。

E-Readerは書店、タブレットはショッピングセンター

同社はデバイスの出荷動向やベンダーの予測、消費者調査などをもとに、読者は複数のリーディング・デバイスを持つことを好む傾向が見られ「印刷本の読書体験に近いもの提供する専用デバイスを求める読者は依然として残る」と結論づけている。米国では、E-Readerのオーナーは複数のリーダを活発に取替えて使う傾向がみられ、専用リーダとタブレットなどは共存しているという。レポートによれば、2012年の専用リーダの世界出荷は、2011年の1,100万台を3割ほど下回る1,500万台と予測され、その後も年平均マイナス6.1%で推移する。他方でタブレットは2012年に1億200万台と大台を超え、2億5,000万台に達する。

タブレットがリーディング・デバイスとしても拡大してることがデータで裏付けられたのは、5月にBISGとバウカー社が発表した調査(本誌5月10日号記事参照)だった。E-Readerのほうは米英のコア読書家層への浸透が一巡し、機能的な拡張が停滞し、中国やインド、ブラジルといった次の巨大市場の開拓を前にした状態での数字であり、本誌としては潜在成長力はまだ高いと見ている。前面発光やカラーなど表示以外にも、専用リーダのサービス機能はまだまだ開発余地が大きい。機能が豊富になるほどリーダとしての専用性は意味を持ってくる。そして、読むべきコンテンツに最適化されたサイズも多様化へのニーズが生まれる。現在の文庫・新書サイズが最終的な形態と考える必要はない。

しかし、E-Bookのデバイス市場は実質的にアマゾンなどのE-Bookリテイラーのコントロールする世界で、タブレットのような、サービス市場から相対的に独立したデバイス市場は成立しない。オンラインストアの側からすると、読書家は複数のデバイスを使い分ける可能性が強いので、クラウドサービスは不可欠になるだろう。また、ジャンルにカスタマイズしたレイアウトやフォントを提供し、多様化することで付加価値を出すことが必要になってくると思われる。いずれにせよ、E-Bookリーダは重要であり、タブレットで本を売ることはそう簡単ではないことを認識すべきだ。 (鎌田、09/05/2012)

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