アマゾン出版が著者/エージェントに実績誇示

アマゾン出版は著者エージェントへの広報活動を活発化させているが、最近ジェフ・ベル副社長がエージェントたちに宛てたメールで、出版社としてのパフォーマンスを示す数字をいくつか開示した。アマゾン出版は売れる著者を惹きつけようとしている。膨大な顧客データと魚群探知のようなプロファイリング・テクニックを駆使出来る21世紀の出版社の実績にはこれからも触れる機会があるだろう。

ベル副社長が開示した数字は以下のようなものだ。Thomas & Mercer(ミステリ・ブランド)は、昨年12月以来エド・マクベインの『87分署』シリーズを25万部以上販売し、47North (SF)はダニエル・ウォレスの "The Book of Sith" をヒットさせ、AmazonCrossing はオリバー・ペツク (Oliver Pötzsch)の作品を累計50万部販売した。Kindleベストセラーに上ったカレン・マックェスチョン(Karen McQuestion)も同じく累計50万部に達した。印刷本とE-Bookの内訳は明らかにしていないが、PaidContentの推測では、多くはKindleでの販売によるものだろうという。アマゾンと契約した作家の移籍後のパフォーマンスも良好で、ミステリ作家のバリー・アイスラーは、これまでのNY Timesベストセラー作品の3倍、恋愛小説のコニー・ブロックウェイの新作も同じく、過去作品の3倍以上を売上げているという。

アマゾン出版は、この成果が1億8,000万人の顧客を対象に積極的なマーケティングを行った結果である、と述べている。たしかに、アマゾンが利用可能なマーケティング・データをもとにキメ細かく、かつ雨霰のようなマーケティングを打つことによる効果は絶大であったのも不思議ではない。アマゾン出版は、出版社としてより多くの収益を著者(およびエージェント)に約束することで、より多くの作家を惹きつけようと図ると見られる。しかし、実績を誇示することは、同時にアマゾンが自社コンテンツを優遇しているのではないかという疑問を生じる可能性がある。遠い将来には、販売プラットフォームと出版の分離も要求されるようになるかもしれない。ともかく、現時点でアマゾン出版のパフォーマンスが示すことは、オンライン・マーケティングの有効性であり、競合する出版社もこれを強化しないと勝負にならないということだ。 (鎌田、09/20/2012)

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