出版技術支援サービスを提供する(株)エクスイズム(eXism)は、Webオーサリング環境CAS-UBを使ったEPUB形式メルマガの制作・販売支援ソリューション・サービスを開始し、希望するユーザーのためのセミナーを提供している。メールマガジンはテキストで提供されているが、これをEPUB化することでオフライン・コンテンツとしての価値を高め、イニシャルコスト・ゼロで大手配信サイトでの販売を支援する。これまで有名人によるプライベート・メディアという色彩が強かったメルマガが、EPUB化によりダイナミックに成長することが期待される。
EPUB化がメルマガを変える
メールマガジンはブログとともに日本の代表的な自主出版メディアとして育っているが、これが市場を形成するには、出版情報(著者・テーマ・ジャンル、価格、購読方法…)への読者のアクセス、入手のしやすさ(購読サイトの拡大)、利用のしやすさ(フォーマットの拡張)などの環境を整備する必要がある。エクスイズムのソリューションは、テキストメールの配信を行っている著者/発行者に対して、「メルマガ2.0」パラダイムへの対応を可能にするものということができる。
エクスイズムが提示するビジネスフローは以下の通り。
- オリジナル・テキストからEPUB生成
- 著者によるプレビューと修正
- コンテンツストア(配信サイト)への入稿、配信・売上情報の管理
- 著者への決済(ストアとの契約により数ヵ月後)
同社ではコンテンツストアとの契約を進めているが、一般的に販促活動を行うストアのマージンは50%台になるとみられる。著者の「印税」は入稿形態などによって異なるという。大手のメルマガ配信サービス「まぐまぐ」の場合、著者の取り分は50%なので、著者/発行者にとってはEPUB化およびE-Bookサイトで販売することのメリットがなくてはならない。一般的には下記のようなことが考えられるだろう。
- 流すメルマガから、蓄積するメルマガへの移行(再編集、E-Bookへの展開)
- ダイナミック・リンクの付いたファイル形式への移行
- より広汎な電子コンテンツ市場へのアクセスと大手ストアの販促の利用
- EPUB→PDF→PODによる出版活動の拡大
- ブログ/SNSとのリンクで読者とのコミュニケーションの活発化
研究会報、同人誌、グループ誌などを発行する場合、ブログをオンライン編集ツールとして使い、そこからEPUBに持っていくことは、コンテンツの再編集による出版を考えた場合にメリットが大きい。これまでメルマガは、メディアの有名人による(テーマ的一貫性の薄い)プライベート・メディアという色彩が強かったが、EPUB化により、よりパブリックなものへとコンテンツの性格も変わってくるだろう。 ◆ (鎌田、09/20/2012)