アマゾンは中国でKindle事業を行っておらず、デバイスの販売/サポートもしていないが、しかしすでに相当の数が流通しており、小規模ながらこれをターゲット・デバイスとした市場が成立している。Tech in Asia というブログ・メディアが伝えるところでは、iKindle.mobiというスタートアップ企業が中国語のブログ/ニュース・コンテンツを.mobiフォーマットに変換してKindleで読めるようにするサービスを始めた。
ReadabilityやInstapaperの中国版ともいえるものだが、このサービスは有償で、6サイトまでは月4元、無制限なら6元となっている。アマゾンが正規サービスを始めると苦しいはずだが、その時にはまた別のビジネスを考えているのだろう。あるいは、iKindleのほうで、アマゾンが当分正規サービスを始めることはなく、そこで一定期間非正規Kindleが非正規なニッチ市場を形成すると読んでいる可能性もある。別の問題もありそうだ。コンテンツはFinancial Times中国語版やTechCrunchなどが含まれている。別にE-Bookの販売も行っているが、これらが正規流通品かどうかは不明。有償のNew York Timesまで安価で提供されているので、海賊版という可能性がある。中国政府の対応も未知数。しかし中国はダイナミックな市場だ。非正規なビジネスから大企業が生まれることも稀ではない。
Kindleを使った中国語コンテンツサイトまで登場しているが、iKindleのようなサービスは、ある程度まとまったユーザーベースがないと成り立たないはずで、少なくとも万単位のデバイスが流入してことは間違いない。香港には大陸向けのKindle販売業者が複数おり、月に数千台を販売していると推測されている。3G版の場合は、中国のインターネット監視網をすり抜けてメールやWebを使えるというメリットもあるから、たんなるE-Readerではない。 ◆ (10/04/2012)