9月6日に発表されたアマゾンの新製品Kindle Paperwhite (KPW)の出荷が、今週月曜に事前予約者に対して始まったが、すでに在庫切れとなり、新規注文に対する出荷に4~6週間の遅れが出ている。前面発光型製品は評価も高く、大きな需要があると見られるが、4月に発売されたB&NのNook Touch GlowLightがそうであったように、供給面でまだ問題があるようだ。遅れが最長の1ヵ月半になれば、シーズン直前と重なり、さらに供給不足が生じる可能性がある。
前面発光機能はE-Inkリーダにとって大きな改善だった
ベゾスCEOは発表時に、KPWの前面発光機能へのニーズは特殊なものではなく、安定した光が得られない場所ならどこでも欲しくなるものであることがテストの結果判明した、と述べた。B&NがNTGLの発表に際し「ベッドで読むのに便利」と、もっぱら特殊用途を強調したためにニッチ機能と考えられてしまっていた前面発光は、じつはE-Inkリーダの利用場面を大きく広げ、有用性を高めるアップグレードであったというのだ。不思議なもので、9月中に米国メディアに出た試用評価記事は、すべてこれが「幅広い場面で非常に便利」であるとしていた。B&Nは宣伝の方法を誤ったことになる。(写真左はNTGLの広告)
Gizmodoが書いているように、KPWは「E-Reader技術における重要な前進」と考えるべきだろう。商用製品として成功していないカラーE-Inkの発色を大きく改善するので、あとは表示を高速化して動画表示の能力を高めていけばよい。おそらく来年はKPWのカラー版が登場するだろう。同時に大画面化にもめどがついたことになる。大画面では前面発光の必要性が高い。それはオフィス・ドキュメント市場への大規模な導入にめどがついたことになる。
Paperwhiteの出荷の遅れについては、当たり外れが大きいがユニークな情報を流すことで知られる台湾のDigiTimesが1週間前に報じていた。アマゾンは需要期に間に合わせるよう全力で問題解決に当たっているという。アナリストによれば、新製品の製造はLGディスプレイ製のHD E-inkスクリーンへの前面発光機構の取付け工程に問題があり(熟練が必要なために労働者が不足する)、それが生産量の拡大の障害になっているようだ。解決は時間の問題だが、出荷と販売はその時間との戦いだ。生産が停滞すると、2012年中の販売は2、300程度の出荷に止まる可能性がある。関心の高さからすると、最終四半期の需要はその倍はあるとみられている。NTGLは価格をKPWと同じ119ドルに引き下げ、販売の促進を図っている。◆ (10/04/2012)