環境音楽を「創作」するiPadアプリ Scape

環境音楽の提唱者ブライアン・イーノがソフトウェア技術者のピーター・チルバースとScapeというiPadアプリを開発・リリースした。様々な音の素材を使い、作曲上の数々の規則と技法にもとづいて音の風景 (sound scape) の自動生成を連続して行うもので、開発者によって「それ自身で考える音楽をつくる」アプリとされている。iPad 1を除き、別のアプリのバックでも再生することもできる。15のオリジナルな「音景」が収録されている。価格は$5.99。

「機械に創作音楽がつくれるか? Scapeはその問いに対する答だ。これはいくらかの音材、プロセス、そして長年使われてきた作曲上の規則の新鮮な組合わせから新しい音楽を創造する」とイーノは述べている。チルバースとのコンビでは、これまでAir、Trope、Bloomというアプリを開発してきた。環境音楽は伝統的な鑑賞スタイル(作曲者-作品-演奏-空間-聴衆)を否定しているので、これは一つの理想といえるかもしれない。デモを聴いた限りではかなり没入型 (immersive)な音景が浮かび上がる。iPadで直接というよりは、大画面、高級オーディオを介して聴くとよさそう。

それにしても、音と作曲ルールとのランダムな出会いから生まれる「創作音楽」の著作権は誰に属するのだろうか、あるいはそんなものは存在しないのか。少なくとも著作権法改正で刑事罰まで課そうという人々には答える義務があるだろう。そもそも音楽は模倣と剽窃によって豊かになり進化してきたのだ。  (10/04/2012)

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