米国人のインターネット/メディア接触行動について定点調査を行っているニューヨークのピュー・センターは、青少年(16-29歳)の読書習慣について調べた調査レポートで、1年以内に本を1冊以上読んだのは83%で、うち75%は紙の本だったことを明らかにした。同じく1年以内にE-Bookを読んだのは19%、オーディオブックを聞いたのは11%だった。これはデジタル・リーディングをリードするのが若者ではないことを示すものだ。
少なくとも、タブレットやE-Readerでの読書は若者の間で主流となっていないし、そう一般的でもないということになる。E-Bookを読んだ30歳以下の若者の中では、41%が携帯、55%がコンピュータ、23%がE-Readerで16%がタブレットとなっている。書籍、雑誌、新聞など長いコンテンツをデジタルで読んでいるのは47%。若者層ほどデジタル・リーディングは後れているという結果は興味深いものがある。図書館でE-Bookを借りているのはデジタル読者の10%に過ぎず、「知らなかった」人は52%。58%はE-Readerが借りられたら利用したいと答えているので、デバイスの普及率が低いことと関係がありそうだ。
83%が年に1冊以上の本を読み、60%が図書館を利用する、という数字は予想よりも高いもので、けっして「本離れ」と見ることはできない。YA向けの市場は活況を見せてもいる。高校生(16-17)と大学生・青年層(18-24)、20代後半(25-29)の3つのグループに分けた分析では、青年層に比べて20代後半の落ち込みが目立っている。16歳以上の全年齢階層を比較してみると、デジタルリーディングが最も普及しているのは30代と20代後半だが、この2つの差は実質的に大きい。また、本を多く読む習慣をつける上でE-Readerが有効とみる若者が多い反面、紙よりもスクリーンがよいと考えているわけではない。安く読む手段として評価されているということだ。この調査は図書館の利用状況など、まだ多くの興味深い情報を提供してくれている。◆ (鎌田、10/23/2012)